第百一話 長崎へその十一
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「力を発揮しておられました」
「そこは変わらないですね」
「今とですね」
「親父はそうなんですよ」
それこそいつもだ。
「普段は遊んでいてです」
「その時が来ればですね」
「やるんですよ」
そのやるべきことをというのだ。
「全力で」
「それも誠心誠意で」
「何だかんだで。浮気はしても」
本当に何から何までそうしてもだ。
「誠実な時は誠実なんですよね」
「約束は守られますね」
「帰って来てパスタを作るって言えば絶対に帰ってきます」
そしてパスタを作ってくれた、しかも美味しい。
「律儀なんですよね」
「そうした方ですね」
「何だかんだでいいところあるんですよ」
僕もこのことは認めた。
「本当に」
「間違っても先程お話をした暴力教師とはですね」
「違います」
絶対にとだ、僕も答えた。
「そんなことしません」
「何があっても」
「親父は暴力は嫌いです」
「暴力とは何か」
「自分より弱い相手をいたぶるもの」
親父自身が僕に言った言葉だ、まさに。
「そういったものですね」
「はい、まさに」
「そんなもの使って悦に入っているなんて」
「人間として間違っていますね」
「最低ですよ」
僕はまた畑中さんに言った。
「本当に」
「全くですね」
「はい、何があってもです」
それこそとだ、僕はまた畑中さんに答えた。
そしてだ、ここで牛丼弁当も食べた、そうして満腹感を感じながらその満足感の中で窓の外の景色を見てだった。
畑中さんにだ、今度はこう言った。
「もう広島ですね」
「そうですね」
「ここまでもあっという間でしたね」
「岡山は一瞬でしたね」
「お弁当を食べていたら」
まさにその間にだ。
「一瞬って感じでしたね」
「そうでしたね」
「広島ですか」
「この前来られましたね」
「江田島行きました」
僕は畑中さんにこの時のことも話した。
「去年も行きましたけれどいい場所ですね」
「そうですね」
「あそこは変わらないですね」
「変わらないといいますか」
僕はまた言った。
「海軍の歴史は今も残っていますね」
「海上自衛隊に受け継がれて」
「場所はそのままで」
海上自衛隊幹部候補生学校にだ、かつて海軍兵学校だったその場所にだ。
「ありますね」
「そうですね」
「七十年以上経ってますが」
その帝国海軍がなくなってからだ、第二次世界大戦が終わって。
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