第百一話 長崎へその九
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「北朝鮮は暴力国家なので」
「暴力で人民を従える」
「弾圧というそれです」
「そういう国が好きだからですか」
「そうした教育もするのでしょう」
畑中さんは達観する様に僕に話してくれた。
「まさに」
「そしてそうした奴は弱いんですね」
「はい、私にとっては弱かったです」
「そうだったのですか」
「所詮真の剣道を知らぬ者」
そうした人はというのだ。
「子供に暴力を振るい恐れさせ悦に入っていた程度です」
「本当の剣道を知らないからですか」
「造作もない相手でした」
「それでやっつけたんですか」
「その子供達の前で一撃で倒しました」
「一撃、ですか」
「直新陰流は薪割り剣法です」
ここでこう言った畑中さんだった。
「十一キロの木刀を一日千回も二千回も振ります」
「それで相当な力があるからですか」
「防具も打てば面の金がへこみます」
「そこまでの力がつくんですか」
「小手を打つとその腕の腫れが三日は引きません」
そこまでの力がつくというのだ直新陰流を極めると。
「それで一撃の面で倒しました」
「一撃ですか」
「私はその教師とは違います」
全く、という言葉だった。
「相手をいたぶることはしません」
「だからですか」
「一撃で倒し気絶させました」
その防具の面の金がへこむ程の一撃でというのだ。
「それから子供達に聞いた話を私の名前で県の教育委員会、文部省今の文部科学省に通報しました」
「それで退職させたんですね」
「剣道連盟にもお話しました」
そのこともしたというのだ。
「そして教師としても剣道をやる者としてもです」
「その場から追いやった」
「そうしました」
「成敗ですね」
僕はここまで聞いてこう言った。
「まさに」
「許せませんでした」
その生成がというのだ。
「どうしても。ですから」
「そこまでされたんですね」
はい」
まさにというのだ。
「そうしました」
「畑中さんにしては珍しいですね」
「そうでしょうか」
「そこまでするとは思えなかったので」
「実は総帥様のお言葉でした」
「あの人のですか」
「はい、あの方がその教師のことをお知りになり」
そしてというのだ。
「私にそうする様に言われたのです」
「倒して、そしてですか」
「教育委員会に通報しろと」
「そう言うとです」
僕は総帥さんの性格から考えて畑中さんに述べた。
「あの人も連名して」
「通報となりました」
「そうですよね」
「ご自身を第一とされ」
「つまり責任は自分位ある」
「そう言われてです」
「総帥さんらしいですね」
部下に仕事を任せるけれど責任は全て自分が持つ、この器の大きさはちょっとやそっとじゃ真似出来ないと思う
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