第百一話 長崎へその七
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「どんな人がいたんでしょうか」
「新選組だと清河八郎ですね」
「あの最初の」
「それと途中で参加した伊藤甲子太郎、他には山南敬助、新選組以外ですと坂本龍馬です」
「あっ、坂本龍馬もですか」
「北辰一刀流免許皆伝でした」
「へえ、それはまた」
何か話を聞いていて驚くばかりだった、実際に。
「意外ですね」
「実はあの人も強かったのです」
「剣道が」
「桂小五郎も相当でしたが」
後の木戸孝允だ、僕もこれ位は知っている。
「誰が一番強いかは私にもわかりません」
「そうですか」
「当時は非常に強い方が多かったので」
新選組だけでなくだ。
「薩摩藩や土佐藩にしても」
「薩摩は示現流ですね」
「直新陰流もです」
その勝海舟の流派もというのだ。
「薩摩藩にありました」
「そうだったんですか」
「どちらも非常に強かったですが」
「そこは薩摩らしいですね」
僕は薩摩藩に持っているイメージから話した。
「何か」
「そうですね、剛ですね」
「薩摩藩というと」
「その武も有名でした」
剣術のそれもだ。
「薩摩藩は」
「そうですね、あと」
僕は畑中さんにこうも言った。
「土佐藩なら岡田以蔵ですか」
「刺客だった」
「あの人も強かったんですよね」
「強かったことは強かったですが」
「それでもですか」
「正しい剣道ではなかったといいます」
「人斬りですか」
「刺客だったので」
この人の場合はだ。
「それに徹した剣術でしたので」
「正しくなかったですか」
「剣道は何かといいますと」
畑中さんは白い眉に目が隠れているお顔で話した、目が小さいのか本当に眉で隠れているようにしか見えない。
「活人剣です」
「よく言われていますね」
「己の心身を鍛えるものです」
「それが剣道ですか」
「私はそう考えます」
「修行ですか」
「確かに剣は人を斬るものです」
畑中さんもこのことは否定しない、日本刀も武器で何に使うかというとやはり人を斬ることに使うものである。
「ですが」
「それでもですか」
「それ以上に己の身体を鍛え」
「心にある悪いものを断つ」
「そういうものなんですね」
「そうです、心の修練が出来ていない剣道はです」
それは何かというと。
「暴力です」
「剣道ではなく」
「はい、暴力です」
それに過ぎないというのだ。
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