British Rhapsody 〜赤城〜
Propose and Acceptance
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に、存分にロドニーさんと戦いを繰り広げるために。
すでに正対し、互いの目から視線を外せない……否、外さない私たちを見て、その傍らにいる提督は困ったように頭をボリボリとかき、戦艦棲姫さんに何かを耳打ちしていた。
その後帽子を脱いで頭を一度掻いた後、ため息をついた提督は、私たちを制止することを諦めたようだった。
「お前さんたち……退く気はないんだな?」
目線はロドニーさんから外さない。頷くこともしない。動きのすべてがスキになる。ロドニーさんも同じく、返事をせずに私に視線を刺し続けている。
「……分かった」
ロドニーさんの目に火が灯った。灯火ではない、業火に等しい激しい炎だ。恐らく私の目にも灯ったことだろう。
「恋焦がれた戦いだ。私を失望させるなよ」
「あなたこそ、私をガッカリさせないでくださいね」
「貴公の期待には存分に応えてやる」
「楽しみましょうか。お互いに」
「ああ。死闘を堪能しよう」
数十分後、私たちは互いに相手を潰し合う。ロドニーさんが私にどれだけ付いてこられるか……私がどれだけロドニーさんに肉薄できるか……楽しみで胸が踊る。
「では準備に入らせていただく」
私からその燃え猛る青い瞳を外さないままそう言ったロドニーさんは、踵を返し、私に背中を向けた。そのまま腰の剣に左手を置き、何事かと周囲を取り巻き始めた電さんたちに分け入って、この場を立ち去っていった。
「赤城さん? どうしたのです?」
只事ではない私とロドニーさんの様子に感づいたのか。電さんが私の元にやってきて、心配そうに私に問いかけた。やはり彼女は優しい。少し青ざめた表情が、私とロドニーさんを心配していることを如実に伝えている。でもね電さん。
「なんでもないですよ電さん」
「そうなのです?」
「はい。これからロドニーさんと稽古をするだけですから」
今の私とロドニーさんの間には、あなたの優しさは不要です。
「ならいいのですけど……」
私の『稽古』という言葉を受けて、電さんは少しホッとしたようだ。そうだ。それでいい。たとえ電さんといえども、私とロドニーさんの間の邪魔はさせない。胸が踊る。集積地さんたちと手を組んでから、今日までずっと感じていた、戦いへの渇望が満たされた喜びに、全身が打ち震える。
「赤城さん?」
「はい?」
「楽しみなのです?」
「なぜ?」
「……笑ってるのです」
知らぬ間につり上がっていた口角を電さんに指摘され、私は改めて実感した。
私は、艦娘だ。ロドニーさんと同じく、戦いを欲する、艦娘だ。
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