British Rhapsody 〜赤城〜
Propose and Acceptance
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とを感じる。身体の芯が熱くなり、そしてそれに反比例して周囲の気温が下がっていく。ロドニーさんの意識が、彼女と私の周囲に拡散していく様子を、私の肌は敏感に感じ取っている。
この感覚に、私は覚えがあった。それは、彼女がはじめてこの鎮守府に顔を見せた時のこと……あの、目に入るすべての艦娘に対して威嚇をし、私に対して本気の殺気を向けていた、あの時のロドニーさんに感じたものと同じだ。
私の右手に、自然と力がこもり始める。全身の血液の流れが強く、激しくなった事を私は自覚した。
「ロドニーさん」
「……アカギ、受けていただけるか?」
言葉だけを見れば、穏やかな物言いかもしれない。実際、そう言うロドニーさんの口調は穏やかだ。
しかし、それを直接言い放たれた私は感じる。彼女は私と、本気の潰し合いを演じたいようだ。あの時と同じ殺気が彼女を包んでいるのが分かった。その殺気が、赤黒く透けた空間となって彼女を覆っている。そしてその空間は、私をも取り込み始めている。
いけない。そこまでされると、私の闘志がうずきはじめる。彼女の腰を見た。今日も忘れず、彼女は帯剣している。
「……」
「……」
彼女の目は鋭い。なるほど。彼女がどこまで本気か試してみようか。私は静かに高鳴る胸に従い、立ち上がって右手でロドニーさんの赤黒い殺気に触れ、そのまま手の平を軽く押し込んでみた。
「……ッ!!」
「!?」
「ちょ……」
「え……!?」
直後に周囲に鳴り響いたのは、鞘走りと抜剣の音。意表をつかれた大淀さんが声を上げた。なぜなら私の右手がロドニーさんの殺気に触れたその瞬間、ロドニーさんは素早く剣を抜き、私の右手首を切り落とす寸前のところで斬撃を止めたからだ。
「……」
「……」
彼女が握る剣と、その剣を握る彼女の右手を見る。彼女の手は……いや彼女の全身は、小刻みに震えていた。それが恐怖や緊張からくる震えではないことは、同じく、身体が少しずつ震え始めた私には分かる。
なるほど。彼女は本気だ。本気で私と潰し合いたいようだ。今のこの反応が物語っている。彼女は今、自身の闘志を必死に抑えている。そしてその抑えている闘志は、私を相手に、爆発寸前まで膨らみきっている。少しでも刺激を与えれば、途端に爆発して私に襲いかかってくるだろう。
「……アカギ」
「はい」
剣をしまい、氷点下の鋭さと痛みをこちらにぶつけるロドニーさんの眼差しは、私の両目を真っ直ぐに捉えていた。これは、自分の思考を相手に伝えたいというわけでも、こちらの意識を読み取ろうという意思表示でもない。
「一航戦の実力、いずれ見せてもらうと私は言ったな?」
「今がその時ですか?」
「ああそうだ。見せていただきたい。世界最強の航空戦隊の
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