British Rhapsody 〜赤城〜
Propose and Acceptance
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まぁ、何かあれば本人から言ってくると思うのですが……」
私はこの時、なぜか妙な予感がした。それも、俗に言う『嫌な予感』というものではなく……。
「……」
「……アカギ?」
「はい?」
「何か楽しみなことでもあるのか?」
「どうしてですか?」
「少し顔がほころんでたぞ? “をだや”のどら焼きの前のイナズマみたいな顔をしてた」
「ぇえ〜……集積地さんそれはヒドいのです〜……」
強大な相手と相対した時のような、不思議な高揚感だった。
そして私のその予感の正体は、次の日に分かった。
次の日、私たちは深海棲艦さんたちと合同で演習を行う予定になっていた。演習といっても一種のデモンストレーションのようなもので、言ってみれば艦娘と深海棲艦入り乱れての体育祭のようなものだ。実際に私達艦娘と深海棲艦が同じ艦隊を組む場合のコミュニケーションのとり方や連携の確認なども兼ねての、お遊び演習と言ってもいい。
「集積地さん! この演習は電を捕まえる演習ではないのです!!」
「むははははは!! イナズマを鹵獲してこその深海棲艦だ!!!」
「今だ天龍二世! 電に魚雷攻撃だ!!」
「コワイカー!!」
「イダッ!? 俺じゃねえ! 敵はあっちだ!!!」
今も、遊びといっても差し支えない、じゃれつきのような模擬戦が行われている。同じ組分けの電さんと集積地さんが追いかけっこをして、天龍さんは仲間のはずの天龍二世さんからの魚雷攻撃を受け、私達の笑いを誘っている。
「ったく……これじゃ演習の意味がないじゃないの……」
「まぁ、こんなふざけた演習が許されるぐらい、平和な日常になったってことですよ」
「そうだなぁ……。まぁたまにはいいか」
観覧席では、私や戦艦棲姫さん、提督や大淀さんといった面々が、この微笑ましい演習を笑顔で眺めていた。大淀さんはもちろん、提督もその言葉とは裏腹に、目尻が下がったとても優しい笑顔で演習を眺めている。深海棲艦との戦争を終わらせたかった提督だし、私たちがこうやって遊び半分の演習を行えているという事実は、彼にとってもうれしいことのようだ。提督のそばに佇んでいる私には、彼の表情の変化と柔らかさがよく見えた。
ロドニーさんは……
「……」
眉間にしわを寄せた、とても難しい表情をしていた。思い詰めたような表情で、電さんたちの演習をジッと見ているようだ。だがきっと、彼女の目には目の前の演習は映ってないだろう。一体何が彼女をそこまで追い込んでいるのだろうか。私と彼女は席が少し離れているため、細かい表情の機微を読み取ることは難しい。故に彼女が何を考えているのか、私にはつかめなかった。
「あー! 楽しかったのです!!」
「うまく捕まえることが出来なかった……ッ!」
演習が
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