British Rhapsody 〜赤城〜
Propose and Acceptance
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「アカギ、夕食を共にしたいが、よろしいか?」
夕食の金目鯛の煮付けを堪能しつつ7杯目のお櫃を空にした頃、私の前に夕食の献立が乗ったお盆を手にしたロドニーさんが現れた。
「どうぞ」
「失礼する」
手に持つお盆をテーブルの上に置き、一度厨房の方に姿を消したロドニーさんは、今度はお櫃を持ってテーブルに戻ってきた。
「一つでいいんですか?」
「足りなければまた取ってくる」
静かにそう答えたロドニーさんは、席に腰掛けてその傍らにお櫃を置き、そこからご飯をお茶碗によそった。
「……いただきます」
誰に言うでもなくお箸を持って両手を合わせ、その後にお味噌汁から口をつけるロドニーさんは、もはや金髪と青い目をした日本人としか思えない。
「……ん? なんだアカギ?」
「料理は国境を超えるんだなぁと思いまして」
「?」
不思議そうな顔を浮かべたのち、箸を金目鯛に伸ばしたロドニーさんは、身を少しほぐして取ると、それをご飯の上で一度受けた後に口に運んでいた。おかずを一度ご飯の上で受けるその仕草が、日本人以外の何物でもないことに、彼女自身は恐らく気付いてないだろう。
「やっぱさーここに来たら冷やしおしるこだよねー」
私たちから少し離れた席にいるレ級さんが、デザートの冷やしおしるこを食べながらそんなことを言っていた。深海棲艦さんたちが普通に私たちの鎮守府にいる光景も、だいぶ慣れた。ひとえに人間側と深海棲艦側の間に立って交渉をまとめている、提督と大淀さんの尽力のたまものだ。
「……」
「……」
「……」
「……ロドニーさん?」
ここで私は、ちょっとした異変に気付いた。ロドニーさんの口数が普段に比べて少し少ない。元々おしゃべりではない彼女だが、今日は輪をかけて静かだ。
「? どうかしたか?」
「いつもより静かだなぁと」
「……」
ほぐした金目鯛の身を煮汁に浸し、再びそれを口に運ぶロドニーさん。レ級さんの向かいの席に据わっているヲ級さんの『ヲっ』という声が響いた。最近ヲ級さんは、天龍さんの眼帯を身に着け始めている。天龍イズムは深海棲艦さんの間で順調に感染をひろげているようだ。まさかとは思うが、天龍二世さんのようになってしまうのだろうか……
ロドニーさんの顔を見た。少し沈んだような雰囲気なのは、私の気のせいだろうか……どうも、いつもの元気というか勢いがない。お櫃のご飯が減るスピードも、心持ち遅い気がする。
「……アカギ」
「はい?」
ロドニーさんが何かを言いたそうに口を動かし……
「……」
「……?」
やめたらしい。何か言い辛いことでもあるのか……?
「どうかしました?」
「……いや」
どうも歯切れが悪い。何かを言いた
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