第4話
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軍の兵士達は予め領邦軍の行動を予測し、それぞれ街道に潜んでいたメンフィル軍の諜報部隊によって葬られ……その為バリアハート、双龍橋にはメンフィル軍による奇襲の報告が届く事は無かった。
同日、20:00――――
〜”翡翠の都”・アルバレア公爵邸〜
一方その頃アルバレア公爵が侯爵邸の中で外の景色を見つめて考え込んでいた。
「―――内戦の戦況は完全に貴族連合に傾いている。ルーファスも”総参謀”として多大な功績を上げ続けておるが……あくまで主導はあの男―――カイエンであるのは変わりない。この状況……何としても覆さねばなるまいな。」
「―――それで先日、ユミルに猟兵を送り込んだというわけですか。皇女殿下を確保することで貴族連合での主導権を握る為に。」
アルバレア公爵が独り言を呟いていると金髪の男子――――ユーシス・アルバレアが近づいてきた。
「……この私に言いたい事があるようだな?”特別実習”とやらの功績を認められた礼にエレボニア皇家が用意した小旅行で世話になった辺境に手を出したのがよほど気に喰わなかったと見える。」
「……滅相もありません。ただ、あの一件については兄上からも釘を刺された筈―――今後はどうか、中立勢力への手出しは控えていただければと。それと一刻も早く父上自身がメンフィル帝国に説明と謝罪、並びに賠償をすべきです。でなければ、最悪の場合メンフィル帝国がエレボニア帝国に宣戦布告をし、そしてメンフィル帝国に宣戦布告をされた責任は全て父上……いえ、”アルバレア公爵家”が負う事になり、最悪の場合”アルバレア公爵家”は――――」
アルバレア公爵に睨まれたユーシスは静かな表情で答えた後忠告しかけたが
「―――ええい、お前ごときが口を挟むような問題ではない!お前は与えられた仕事だけを黙ってこなしていればいいのだ!」
「……出過ぎたことを言いました。」
アルバレア公爵に怒鳴られ、後ろに組んだ両手の拳を握りしめてアルバレア公爵に謝罪した。
「……とにかく手を考えねばなるまい。いつまでも、あの気取ったうつけ者に”総主宰”を名乗らせておけるものか。今後のルーファスの立ち回らせ方も改めて考えておく必要があるな……」
「…………………………」
考え込みながら独り言を呟くアルバレア公爵を目にしたくないかのようにユーシスは目を伏せて黙り込んでいた。
この夜が父と過ごす最後の夜になるとはユーシスはこの時、想像もしていなかった――――
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