178部分:バルドの旗の下にその一
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バルドの旗の下にその一
バルドの旗の下に
トラキアとの戦いを終え大陸東部を完全に解放した解放軍は遂にミレトスからグランベル帝国本土への侵攻を決定した。今までイザークに残していた予備兵力や新たに加わった志願兵等をいれ総兵力は六十万に達した。前線基地となっているメルゲン城には膨大な物資が次々と運び込まれオイフェ、シャナン等を筆頭とする名立たる将達と鍛え上げられた精兵がセリスの号令一下ミレトスへの進撃を待っていた。
解放軍だけではなかった。シレジアを制圧したイシュトー、ノィッシュ等の軍は帝国の勢力をイードから完全に排除しその主力は南下を続けていた。
アグストリア及びヴェルダンを解放したクロード、レックス等の軍も同様だった。ユングヴィ公アンドレイ率いる弓騎士団への備えをエバンスに置くとヴェルダン南の港近くに兵を向かわせ何か奇計を繰り出しそうな気配であった。
事態がいよいよ抜き差しならぬ逼迫した状況に追い詰められた帝国も遂に動いた。それまでの帝国の治安維持及び暴動抑制に宛てていた帝国が誇る精鋭炎騎士団三十万と十一将の出陣を決定し皇帝アルヴィス自ら解放軍が最初に侵攻して来る事が予想されるシアルフィに入りそこで来るべき決戦に対して備えていた。同時にトラキアより連れて来たアリオーン及び竜騎士団にも出撃を命じ今の帝国が出来る限りの備えを皇帝自ら指揮していた。同時にこれは帝国の置かれた危機的な状況をも浮き彫りにしていた。
帝国にとっても皇帝アルヴィスと共にもう一人その動向が注視されているユリウス皇子は依然としてミレトスに留まっていた。フリージ家のイシュタル王女を招き入れたとの情報もあるが不確かでありミレトスを完全に鎖国状態においている事もその動向は謎に包まれていた。だがユリウスの異常とも言える残虐性を知る人達は何やら恐ろしい事が行なわれていると察していたが正確な事は知る由もなかった。ミレトスにおいて歴史の神が分岐点を設けようとしていた。
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