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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第八話 仕込みとか分かりやすい伏線の話
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るはず。昔、第二次大戦時にそれは確かめたことだったはずだ。
「いやどうしてなかなか分かりやすい。優先順位さ。君の影の理と僕の闇の理。影と闇では闇が上位に立つ。ある意味当然の出来事さ」
口調こそ戻ったものの、もはや彼の目はルサルカを見ていない。取るに足らないものを蔑むような、まるで見下すような目線となる。実際には彼はルサルカに関心が無い。結果に予測がついた(・・・・・・・・・)からだ。彼の予測が外れたことは水銀とライニのことを除いてない。或いはあの人形も、と思案するがこの場では関係ないので割愛する。
「仕込みも済んだ。後は帰るだけだけど、影を外すなら痛い目みずに済むけど如何する?」
ルサルカは従わざる得なかった。異質の恐怖に囚われ、抵抗する気も失っていた。それでも、と彼女の一流の魔女としてのプライドが彼をそのまま帰すことだけを良しとしなかった。
影が一斉に迫る。それだけでなく鎖が、針が、鋼鉄の処女(アイアン・メイデン)が、車輪が迫る。しかし、
「単純、単調、短絡的。元に戻る程度に分裂すれば当たりもしないね」
自身の身を粒子にし、一つも当たることなく回避したアルフレート。それどころか、
「あ、がぁぁぁ、痛い、痛い痛い痛いッ!」
「おいたした悪い子にはそれなりの罰が必要だよね」
闇と表現した粒子が雨のように弾丸となりルサルカの身体を貫き、切り裂き、打ち抜いた。全身に傷を負い、血が流れだしたルサルカは余りの激痛に叫ぶ。
痛みを重視した傷、血塗られた痛み(ブラッティ・ペイン)と彼がつけた戦い方。英語読みだが彼にとっては気にする程度のことではないと判断した。何故ならその技は彼がイギリスにいたときにつけた名だから。スラムの子供、ジャック・ザ・リッパー達、彼ら彼女らに教えた殺し方。苦痛が伴う傷こそが流血における意味だとそこのスラムにいた少年少女に教えた技。生きていけたのは何人だったか。そう思いだしながら、ルサルカを見る。そして思った。
(この醜悪な屍のなりそこないより、あの子達のほうが結末は美しかったな)
そんなことを考えながら彼は回復に専念しているルサルカをよそにボトムレスピットから出て行くのだった。
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