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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第八話 仕込みとか分かりやすい伏線の話
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教会を出ると既に朝方だった。こうして見ると街はごく普通で当たり前の早朝風景にしか感じられず、ついさっきまでの出来事が悪い夢のようにすら思える。
だが、それは甘い感傷で、今もアイツらがこの街に居るせいで危険な状態にあることは揺るがしようがない事実。今も歩いている人たちを見ると土下座したくなる気分だ。
けど、まあ、今はそれを気にしている場合じゃない。やるべきことは、最悪の結果を防ぐためにも労を惜しまず、時間を無駄にしないと言う事で。

「……よし」

司狼、そして本城……あいつらは黒円卓(れんちゅう)のことを俺より知っている風だった。無事かどうかは分からないがアイツのことだ。早々やられることは無いだろう。例のクラブにでも行けば再会できるかもしれない。
あいつらと合流して、お互いの情報を交換しつつ今後の作戦を立てねばならない。アルフレート(あいつ)の言葉通りなら今から戦いが始まってもおかしくない。とはいえ、夜に戦いを始めるつもりなのだろうが。

「ねえ、レン。あの人達は、レンとカスミの友達?」

「ん?」

マリィに言われて見てみると同じ月学の生徒が数人、制服姿で歩いていた。登校には早いが部活の朝練か何かだろうか?

「……ッてちょっと待て!?」

朝練?そもそも部活自体、例の首切り事件以来、禁止されていたはずだし、今日はまだ休日なはず(・・・・・・・・・・)……

「あ……」

自分の馬鹿さ加減に頭が痛くなる。一体何時まで俺は拘束されていたのか。気を失ってから目覚めるまで何時間かかったのか……俺はそれを一切確かめていなかった。
ポケットに手を突っ込みケータイを取り出そうと……

「……ない」

ケータイは紛失していた。当たり前と言えばその通りだ。あれだけ暴れまわって無茶苦茶やって、敵に拘束されて、そんなハードな展開をこなした直後に落し物が無いなんてありえない。よしんば有ったとしてもそれが壊れていない可能性はほとんど無いだろう。

「クソ……!」

近くのコンビニに駆け込み店員に日付を尋ねた。その結果―――

「月、曜日……?」

なんてこった!俺は丸一昼夜気絶して、その間に土日が明けたらしい。

「悪い。今すぐ家に帰る」

「どうして?」

「香純が学校行っちまう!」

こうしている間にも香純が学校に行ってしまう。俺はマリィの返事も待たずに駆け出していた。

「ちょっ―――レン、待って。待ってよ!」

袖をつかまれて仰け反りかかる。反射的に振り解いてしまいそうなところだったが、振り向いた俺に彼女は今にも泣き出しそうな表情で俺を見つめていた。

「一人で行かないで。置いて行っちゃ、いやだ」

だよな、こんなところに放って行くわけにはいかない。けど急がないことに変わり
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