第二話 傷ついた者達の日常
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がそう言うと、榛名と夕立がそれぞれ凰香の身体に抱きついて泣き出す。凰香はしばらく何も言わずに二人の頭を撫でる。
すると、防空棲姫が言った。
「……さあ、温かいうちに食べないと美味しいごはんが不味くなっちゃうわ」
「そうだね」
防空棲姫の言葉に時雨が頷く。そしてそれぞれ自分の席に着いた。
凰香は二人の頭から手を離して言った。
「……さて二人もああ言ってるし、そろそろ朝ごはんを食べよう?」
「「は、はい!」」
凰香がそう言うと、榛名と夕立が笑顔で頷く。
凰香は二人を席に着かせると、自分も席に着いた。全員が席に着いたのを確認すると、凰香は両手を合わせる。それに次いで防空棲姫と時雨、さらに榛名と夕立も両手を合わせる。
「いただきます」
「「「「いただきます」」」」
凰香達はそう言って、朝ごはんを食べ始めたのだった。
………
……
…
初めて朝ごはんを食べた後、夕立は一人で旧泊地のある無人島を探索していた。旧泊地は建物自体は古いもののあの鎮守府にいた頃に比べればずっと居心地がよく、周囲は木々に囲まれて自然が豊かであった。
しかし時間が経つのは意外と早く、夕立が旧泊地を探索し終えた頃には日が沈み始めていた。
(もう夕方………)
夕立はそう思いながら、夕焼けの空を見つめる。すると、背後から突然声をかけられた。
「夕立」
夕立が後ろを振り向くと、そこに白露型駆逐艦二番艦の時雨が立っていた。
時雨の姿を見た瞬間、夕立の身体に緊張が走った。
「時雨…さん」
「別に僕に敬語なんて使わなくていいよ。一応姉妹艦なんだから」
「は、はあ………」
時雨が笑いながらそう言ってくるが、夕立はどうしても敬語を使ってしまった。
その理由は簡単、この時雨はあの鎮守府にいた時雨とは違うからだ。あの鎮守府にいた時雨は改二前でこの時雨は改二であるのもそうだが、それでも根本的に違うように感じられる。何がと聞かれると上手く答えられないのだが、夕立の本能が『この時雨は怒らせてはいけない』と警告しているのだ。
また、この時雨が付けている髪飾りも他の時雨とは違っていた。他の時雨が付けている髪飾りは赤い玉に金色の装飾が施されたものだが、この時雨が付けているのは黒い玉に銀色の装飾が施された髪飾りだ。一見すると綺麗に見えるのだが、何処か禍々しい雰囲気を醸し出していた。
夕立が緊張していると、時雨が言った。
「夜ごはんはまだ時間がかかるから、先にお風呂に入っておいで。場所はわかるかい?」
「は、はい」
「ならよかった。じゃあ、ゆっくりしておいで」
時雨はそう言うと、建物の方へと歩き去って
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