第二話 傷ついた者達の日常
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え、眼が赤く染まる。
凰香は無意識に怒り、少しだけ防空棲姫と化していた。
「……ふざけナイでよ。艦娘を何ダと思ッテいるノ?」
凰香はそうつぶやく。もしここにその提督がいたら、凰香は躊躇することなく八つ裂きにしているだろう。
すると、防空棲姫が凰香に言った。
「………落ち着きなさい凰香。今ここでその姿になっても仕方ないでしょ?」
「………ごめん、防空姉。少し抑えられなかった」
凰香は深呼吸して気分を落ち着かせてから防空棲姫にそう言う。それと同時に凰香の頭に生えていた角が消え、眼も元の黒色に戻る。
それを見た時雨が言った。
「無理ないよ。僕ですら反吐が出るんだ。君が怒るのも仕方ないよ」
「………そうかもね」
時雨の言葉に凰香はそう返す。凰香には自覚はないが、おそらく自分は怒っているのだろう。
とはいえ、今はそんなことを気にしていても仕方がない。それよりも今はやらなければならないことがある。
凰香は早速それを実行するために、榛名と夕立に言った。
「……榛名、夕立。あなた達は自分のことをどう思っているの?」
「どう、と言われましても………榛名達の役目は深海棲艦から制海権を取り戻すことで………」
「……なるほど。じゃあ聞くけど………『なんであの鎮守府から逃げたの』?」
「!?そ、それは………!」
「あそこにいるのが嫌だったから逃げたんでしょう?深海棲艦と戦う兵器であるにもかかわらず」
凰香は容赦することなくそう言う。だが事実であるために榛名は何も言い返すことができず、どんどん悲しげな表情になっていった。
すると、夕立が怒りの表情で凰香に言った。
「…凰香さんは……凰香さんは夕立達に兵器として戦えって言うんですか!夕立も、榛名さんももう戦いたくないのに!死にたくないのに!」
「……夕立ちゃん、榛名は大丈夫ですから……それ以上はいいです」
夕立が凰香に怒りをぶつけていると、榛名が悲しげな笑みを浮かべながら夕立に言う。榛名にそう言われた夕立は怒りの表情から一転し、悲しげな表情で榛名の方を向いた。
「榛名さん………」
「夕立ちゃん、やはり榛名達は戦いから逃げることができないんです………どう足掻いても、榛名達は兵器であるという事実は変わることはないんです………」
榛名が夕立にそう言うと、凰香達の方を向いて頭を下げて言った。
「……申し訳ございませんでした。これからは凰香様の意志のままに動きます。凰香様が『敵を殲滅しろ』と仰るのなら、榛名は全ての敵を殲滅するまで戦い続けます。凰香様が『死ね』と仰るのなら、榛名は喜んで命を投げ捨てます。ですので、どうかこの榛名に命令を与えてください」
榛
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