第二話 傷ついた者達の日常
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こえてくる。凰香が厨房のカウンター越しに食堂の入口の方を見ると、第二次改装された『榛名改二』が入ってきた。
全体的にはあまり変化が見られないものの、前に比べさらに灰色がかった髪や金一色となったカチューシャなど一部が変わっていた。
凰香は改二となった榛名を見て言った。
「調子はどう?」
「はい。ちょっと重い感じもしますけれど、でもこれでもっと夕立ちゃんを護ることができます!」
「そう。………まあここでは任務も何も無いから、気ままに生活すればいいから」
凰香はそう言うと、焼いた鮭の切り身とほうれん草の卵とじをそれぞれ器によそって机に運ぶ。時雨も同じようにワカメの味噌汁を人数分よそって机に運んだ。さらに防空棲姫が実体化してごはんを人数分よそって運ぶ。
「あの、凰香さん。これは一体………?」
凰香達が朝食を運んでいると、榛名が不思議そうに首を傾げて聞いてきた。それを聞いた時雨が言った。
「何って、朝食だけど」
「『補給』ではなくて……?」
「君は何を言っているんだい?食事と補給は別だよ」
時雨がわけがわからないといった表情でそう答える。しかし、凰香は今の榛名の言葉を聞いて『ある可能性』が浮かび上がった。防空棲姫も同じだったらしく、小声で凰香に言ってきた。
「……凰香、彼女達って」
「うん、今私も同じことを思ってた」
凰香はそう答えると、榛名と夕立に聞いた。
「………榛名、夕立。あなた達は以前何を食べていたの?」
「あ、えっと………」
「大丈夫、怒ったりはしないから」
凰香は安心させるように言った。だが夕立は鎮守府にいた頃を思い出したらしく、顔を青ざめさせて身体を震わせる。榛名も夕立と同じだが、凰香の問いに答えてくれた。
「……榛名達が食べていたのは、主に弾薬や燃料といった資材です」
「……どういうことか説明してくれる?」
凰香は榛名に言った。この質問は榛名と夕立のトラウマを掘り返すものである。しかし、なぜ榛名と夕立が『食事』を知らないのかがわからなければ、凰香は手を打つことができないのだ。とはいえ、無理に話してもらおうとも思ってはいない。
「話したくないのなら、無理に話さなくてもいいわ」
「……いえ、榛名は大丈夫です。ですので、お話させてください」
凰香はそう言ったが榛名が首を横に振ってそう返し、深呼吸して話し始めた。
「……榛名があの鎮守府に来た時には、すでにその『食事』というものがありませんでした。無いというよりも、『禁止されていた』と言った方がいいかもしれません」
「『禁止されていた』?」
「はい。それを言われたのが……確か鎮守府に着任した時に、執務室
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