第二話 傷ついた者達の日常
[12/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ね。ずっと彼女の行動を観察し続けたわ。
「それで彼女の行動を観察し続けているうちに気づいたのよ」
「……凰香さんはなぜ花束などを海に流していたのですか?」
榛名は防空棲姫に聞いた。
防空棲姫は榛名の問いに答えた。
「……凰香はね、私達に『お祈り』していたのよ」
「お祈り、ですか?」
「ええ。あなた達も知っている通り、私達深海棲艦はかつて沈んだ艦船の怨念が具現化したものだとか、資源を乱用する人類への罰だとか、轟沈した艦娘の成れの果てだとか言われているわ。まあ、私自身自分達の正体が何なのかわからないんだけどね。で話を戻すけど、人類は私達を『恐怖』としか見ていない。……でも凰香だけは違った。
「……あの子はね、私達のことを『悲しい存在』と認識していたのよ」
「『悲しい存在』……?」
防空棲姫が言った言葉を榛名は口に出す。なぜ凰香が防空棲姫達を『悲しい存在』と認識したのかわからなかったからだ。
すると防空棲姫が言った。
「あの子は私達が目の前にあるものをただ沈めるという行動に、『悲しみ』を感じたのでしょうね。それであの子は私達に『安らかになってほしい』という想いで私達に祈っていたのよ。4、5歳の子供がね。
「それを理解した瞬間、私達の中に『心』が生まれたわ。それと同時に私達は誓ったのよ。『何があってもあの子だけは絶対に護る』ってね」
防空棲姫がそう言って締めくくる。
榛名はあの日なぜ防空棲姫達が凰香を助けようとしたのかがやっとわかった。
防空棲姫達にとって凰香は『心』を与えてくれた恩人だ。その恩人である凰香を戦いに巻き込まないようにするために防空棲姫達は凰香を助けようとしたのだ。だが榛名は己の恐怖に負け、凰香に深い傷を負わせてしまった。
(ああ、榛名はなんて愚かなことをしてしまったのでしょう………)
榛名はそう思うと、防空棲姫に言った。
「……防空棲姫さん、あの時は本当にすみませんでした」
「もういいわよ。昔の出来事だからね。………ただ、一つだけ約束してくれないかしら?」
「約束、ですか?」
「ええ。『もう二度とあのような悲劇を起こさない』って」
防空棲姫が真剣な表情でそう言ってくる。
あのような悲劇を起こさない………それは凰香と同じ境遇の人物を生み出さないようにするということだ。そして、それが榛名の罪の償いでもある。
榛名は頷いて言った。
「はい!もう絶対に誰も傷つかないように、榛名が護ってみせます!」
「ありがとう、榛名。………じゃあもう遅いから、榛名もそろそろ寝なさいな」
「わかりました。では防空棲姫さん、おやすみなさい」
「おやすみ」
榛名の言葉に防空棲姫がそ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ