第二話 傷ついた者達の日常
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る?」
「い、いえ。榛名はその……タバコは………」
「あらそう。……まあ無理にやらなくてもいいけどね」
そう言って防空棲姫はタバコの箱をしまう。榛名は防空棲姫の隣に立つと、夜空を見上げた。
「………夜空が綺麗ですね」
「そうね。私も夜空を見てそう思うようになったわ」
榛名がそう言うと、防空棲姫も同じように夜空を見上げながらそう言った。
しばらくお互いに黙っていたが、榛名は前から気になっていた疑問を防空棲姫に聞いた。
「………あの、防空棲姫さん。聞きたいことがあるのですが」
「何かしら?」
「どうして防空棲姫さんは凰香さんを助けたのですか?………その、深海棲艦であるにもかかわらず」
これが榛名が前から気になっていた疑問だ。
防空棲姫は深海棲艦であり、黒夢凰香は人間である。本来なら防空棲姫にとって凰香は敵であるはずなのだ。にもかかわらず、あの日防空棲姫は凰香を助けた。そのことを榛名はずっと疑問に思っていたのだ。
もちろんこのことを聞くことが失礼なことであるのはわかっている。それでも榛名は聞かずにはいられなかった。
すると、防空棲姫がタバコを吸って紫煙を吐いてから言った。
「……あの子が恩人だからよ」
「恩人、ですか?」
「ええ。私、というよりも私達のね。あなたも知っているでしょ?私達が特定のコミュニティを形成することを」
「はい」
「私の入っているコミュニティも最初は他の深海棲艦のコミュニティと同様艦娘と戦い、海域を制圧していたわ。目の前にあるものをただ沈めることだけを考えていた。………でもある時、私は『あの子』と出会った」
「『あの子』とは、凰香さんのことですか?」
「ええ、そうよ」
防空棲姫が苦笑いしながらそう言う。
榛名は防空棲姫に聞いた。
「どんな出会いだったのですか?」
「出会いと言っても、私はただ海から見ていただけよ。凰香が海に向かって花束を流すところをね」
「凰香さんが海に向かって花束を?」
「ええ。最初は私は彼女が何をしているのか全く理解できなかった。私だけじゃなく、南方棲鬼や戦艦棲姫、ヲ級やネ級も彼女が何をしているのか全く理解できず、私と一緒に彼女の行動をずっと見ていたわ。
「凰香が持ってくるものは色々あったわ。花束が多かったけど、花束以外にも食べ物や髪飾り、さらにはぬいぐるみなどいろんなものを流してきたわ。
「………でも、一つだけ共通することがあったのよ」
「共通すること、ですか?」
榛名は首を傾げた。すると、防空棲姫が言った。
「持ってきたものを流した後に、必ず手を合わせるのよ。
「私達はその日から彼女の行動に興味を持って
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