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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
最終話 本日天気晴朗ナレドモ波高シ
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伊は静かに、だがはっきりした声で遮った。
「尾張はあなたが思っているほど立派ではありません。私もですけれど、長門さん、あなたも尾張のことをよくわかっていないようです。」
「????」
「あの子は純粋なんです。ただそれだけなんです。そんなあの子に私たちがいくら綺麗な言葉を並べても、あの子の気持ちを汲んで満足させてやることは到底できないと思うんです。」
「それは、私の言葉が真心がこもっていないと・・・・?」
一瞬だが長門の顔に暗い影が走った。
「違います。そんなんじゃなくて・・・・ごめんなさい。上手く言えないです。」
紀伊は押し黙ってしまった。両目がつらそうに閉じられた。
「長門。今はやめておきましょう。」
陸奥が長門の方を支えながらそっと言った。
「陸奥?」
「あなたがどんなに心を込めて放った言葉だとしても、それは今この時にはそぐわないわ。もっと時間がたって、気持ちの整理がついて、皆のことを懐かしく思えるような余裕ができて初めて、あなたの言葉を伝えるべきね。」
「・・・・・・・。」
長門は黙っていた。だが、聡明な武人である彼女は陸奥、そして紀伊の思うところを理解できたのだろう、すぐに謝った。
「すまなかった。」


* * * * *
 艦内執務室にて、提督のモノローグ――。
 ミッドウェー本島を攻略したという知らせと、それ以上の衝撃的な知らせを受け取った俺は、急いでイージス艦でハワイ入りした。横須賀から政府要人を乗せたイージス艦隊を指揮してきた葵の奴も同日にハワイ入りだった。俺たちは一人一人艦娘を慰問した。後から来てなんだって言われるかと思ったが、誰一人そういうことを言うやつはいなかった。それだけに俺たちはつらかった。


 誤算だった。まさかノース・ステイトがハワイを攻略していたとは。


ハワイに差し向けた呉鎮守府艦隊を横須賀鎮守府の艦隊と協同させて運用していれば、もっと違った結果になったかもしれない。
 それを言うと、葵の奴はこういった。
「でも、それをやっていたら呉鎮守府艦隊も深海棲艦に包囲されて、もっと犠牲が出たかもしれないわ。鳳翔たちが機転を利かせて、ノース・ステイトと連合してミッドウェーに駆けつけたから、包囲網を崩せたし、勝機をつかめたのよ。」
そうかもしれないが、もし、と思ってしまう。だが、そんなことは無意味だ。既に起こってしまったことはもう取り返しがつかない。
 武蔵、尾張、近江、飛龍、そして綾波――。
尊い犠牲を払って、俺たち、いや、ヤマト艦娘はノース・ステイトの通信回復作戦を成し遂げた。
 上層部は大喜びだ、政府もだ。早速お偉方がイージス艦の護衛でハワイにきて、ノース・ステイトのお偉方と改めて話を行っている。それがなんだか無性に空しくてどうでもいいことのように思えてきてしまっ
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