最終話 本日天気晴朗ナレドモ波高シ
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っていた。
自分たちの周囲もまだまだ波が高いが、それもいつかは収まるだろう。そして世界の海から深海棲艦を一掃し、暁の水平線に勝利を刻んだその時こそ、本当の穏やかな海が到来するのだと紀伊は思う。
しばらくして讃岐が洋上に出てきた。完全に修復された艤装が光り輝き、讃岐の顔も凛としているように見える。
(あなたは私を見ていたけれど・・・・私もあなたを見ていたわ。そして私は自信をもって言える。あなたは確実に成長し、そして今後も成長して行ける子なのだと。)
讃岐は洋上から埠頭を、姉を見た。紀伊はうなずく。海上には既に出立した呉鎮守府の艦娘たちがウォームアップして待機しているはずだった。見送りはその海上に面した第一ふ頭で行われることになるだろう。残留組もそこに行っているはずだった。
讃岐は洋上に出ていく。紀伊はそれを佇んで見送っていた。と、その時だ。不意に讃岐が振り向いた。
「紀伊姉様ァ〜〜〜!!!!」
大声が海上から吹き渡ってきた。讃岐が力いっぱい手を振っている。
「讃岐!!!」
紀伊も叫んでいた。
「どこにいても――。」
「何をしていても――。」
『私たちの心は一つ、いつも一緒よ(です)!!』
期せずして二人の声が海上に響き渡り、さあっと桜の花びらが舞った。まるで旅立つ者への餞のように、豪勢に。
手を振り返した紀伊はゆっくりと埠頭へ足を向け、歩き出していった。
完
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