序章 二人の出会い - 森の町チェスター -
第5話 ドラゴンの血
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ないけど!」
「だから謝っているのに。申し訳ないって」
「いきなりあんなモノを見せた罪は重いよ〜? ま〜あんたのおかげで助かったっぽいから許すけど」
「……ありがとう」
「で。ここに来てくれたということは。教えてくれるんでしょ? 生まれてから今までの人生、一通り」
もちろん、「冒険者同士だから詮索禁止」とは言えなかった。
しかし今回の仕事はすでに終わっている。
パーティも解散で、偶然を除けば今後会うこともないだろう。
そんな相手の半生を聞いても仕方がないのに――。
若干戸惑いながらも、シドウは説明を始めた。
―――
俺が生まれたのは、大陸最南端にある港町ペザルに近い山。
すでに言ったとおり、俺の父さんは人間で、母さんは純血のドラゴン。
大魔王が約二十年前に勇者一行に滅ぼされて……。
ドラゴンやサイクロプス、バジリスクなどの高位モンスターも滅ぼされたというのは知っているね?
けれども、ドラゴンである俺の母さんだけは生き残ったんだ。
なぜかって?
母さんが勇者パーティに討伐されるというときに、俺の父さんが間に入って、見逃してもらったらしいよ。
詳しくは長くなるから省くけど、父さんは冒険者時代に、色々あって母さんに世話になることがあって、すっかり惚れ込んでいたらしい。だから一生懸命頼み込んだって言ってた。
その必死さが通じたらしくて、勇者さんたちやペザルの町の人たちは、二人でぺザルの近くの山で暮らすことを認めてくれたらしい。母さんは「私は人間に生かしてもらっている」と、いつも感謝していたよ。
その一件の直後に、二人は結婚して、子供を作ったんだ。その一人が俺。
兄弟の数は、増えていなければ俺を入れて全部で八人。
他のみんなは基本的にドラゴンの姿で、少しの時間なら人間に変身できるという感じだった。
けれども、俺だけは逆だった。
父さんの――人間の特徴が強く出ていたのか、通常だと人間の姿だったんだ。
だからなのかな。
他の兄弟姉妹は山から出ることはなく、今も山頂近くの巣に住んでいるけど、俺だけは十歳で山を出ることになった。
行き先は、森でも話したとおり、地理学者のピーターという先生。
修行に入っていたのは十四歳までで、ギルドに登録できる十五歳からは、冒険者として町を転々としている。
母さんから「自然の仕組みを勉強し、その上で世界を巡れ」と言われていたから。
その意味? さあ……。
勉強については森で言ったとおり、やることの意味までは聞いてない。
世界を巡る旅にしても、母さんには「最初はただ見るだけでいい」と言われただけ。何を期待しているのかは教えてもらってないんだ。
結局、今もよく
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