ターン66 覇王の粛清
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の瞬間、絶望に歪む犠牲者の顔を。その視線を痛いほど感じながら、つい昨日まで優雅に上から見る側だったはずの闘技場にスノウが引き出される。
逃げ出さないよう鎖につないで引きずってきたベージの姿が消えると同時に反対側の入り口から、ゆっくりと覇王が死神のごとく歩いてやって来た。その足音が近づくにつれ、またもや恐怖がぶり返す。だがすでに、闘技場には彼と覇王の他に誰の姿もない。
「く……く……」
「さあ、始めよう。精々バーンカードでも引けるように祈ることだな」
互いのデュエルディスクが示したのは、スノウの先攻という結果。そこでスノウは思考する。確かに1ポイントでもダメージを与えれば敵前逃亡の罪が消えるルールがある関係上、たとえ火の粉や雷鳴レベルのカードであっても先攻でバーンを行うことさえできればそれが最善手だ。
さらに追加ルールとして、覇王は今回融合モンスターを使わないという縛りがある。仮に初手でバーンカードを引くことができずとも、メインデッキのモンスターだけで戦うのならば所詮は融合素材、少しは時間的猶予があるはずだ。
十分勝機はある。覇王の名の大きさに惑わされるな。
そう萎みそうになる心を必死で奮い立たせ、カードを引きぬく。もっと単純なことに気づけなかったのは、そちらに意識が行き過ぎたからだろうか。上から観戦する悪魔も魔法使いも、もはや彼を同士ではなくまな板の上に乗る解体前の魚を見るような目でしか見つめていなかったことにもし気が付くことができていれば……。
「「デュエル!」」
恐る恐る手札を見て、声にならない叫びが漏れる。手札にあるカードはどれもバーン能力を持たないカード……もちろんバーンメタのカードを覇王が握っている可能性も0ではないとはいえ、最も可能性が高い先行逃げ切りの夢は潰えてしまった。
となれば彼に残されたのは次善の策、攻撃の機会が訪れるまでただ守りを固める事のみ。
「ワタクシは魔法カード、スネーク・レインを発動!手札1枚をコストにデッキから4体の爬虫類族、レプティレス・ナージャ3体に邪神官 チラム・サバクを墓地に。そして装備魔法、継承の印を発動!ワタクシの墓地に同名モンスターが3体存在する場合、そのうち1体を蘇生しこのカードを装備します。蘇りなさい、レプティレス・ナージャ!」
蛇の下半身に、人間の女の子のような上半身。先だって清明とのデュエルで使用したカードであるチラム・サバクや邪龍アナンタとは真逆の蛇人間が、継承の印をネックレスのように首からかける。いかにも蛇らしい赤い舌をチロチロと出し、その場にとぐろを巻いて座り込んだ。
レプティレス・ナージャ 守0
「レプティレス・ナージャは戦闘で破壊されず、さらにナージャとバトルを行ったモンスターの攻撃力は0となります。さらにワタクシはこ
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