ターン66 覇王の粛清
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ら離れようとするスノウ。だが、それは許されなかった。立ち上がろうとした彼の背後から、分厚い石の扉を通して氷のように冷たい言葉の刃が放たれる。
「それで?」
「は、はい?」
「それで、貴様はどうしてきた?そいつの死体でも持ち帰ってきたか」
「い、いえ、それが……で、伝言を預かってまいりました。そ、その、『この遊野清明様が地獄の底から帰ってきたから、首洗って待ってなバーカ』とのことでございます」
姿を見てもいないのに伝わってくる覇王の威圧感に破れかぶれになり、清明からの伝言を伝えるスノウ。言い終えた瞬間、ますます強まってきたプレッシャーにその場にへたり込みそうになる。もはや悪魔のプライドも何もなく、願うことはただ1つ。この場から逃げ出したいという、ただ1点のみだった。
しかし、その望みは決して叶わない。覇王の次なる言葉、そのひとつひとつが死刑執行の宣告のごとくスノウに突き刺さる。
「なるほど。つまり貴様は人間相手に無様にも負けたうえに、そのくだらない言葉を俺に伝えるためだけにわざわざ生かされておめおめ逃げ帰ってきたというわけか」
「そ、それは……」
「それだけで万死に値する罪。そうですね、覇王様。意見具申させて頂きますが、こやつの処刑方法はこのカオス・ソーサラーにお任せを」
「カオス・ソーサラー様!」
一体どこから聞いていたのか、カツカツと靴音を響かせて自然と会話に入ってくる覇王の側近の1人、カオス・ソーサラー。その言葉の内容に、ゆっくりと絶望が全身にしみわたってくる……だが以外にも、それを止めたのは覇王本人だった。
「まあ待て。今の俺は機嫌がいい、貴様にも1度だけチャンスをやろう」
「ほう。どのようなチャンスをくれてやるおつもりですか?」
「そこの貴様、俺とデュエルしろ。俺は融合モンスターを使わずに戦ってやるから、戦闘でも効果でもどちらでもいい。俺のライフに1ポイントでも傷をつけられたら、その時点で貴様の罪は帳消しとしてやろう」
「そ、そんな……」
「拒否するならすればいい。ただその場合、貴様の処分はカオス・ソーサラーに一任しよう」
「か、畏まりましたっ!」
ほんのわずかな保身の可能性だが、今のスノウにとってはそれにすがる他に方法はない。どの道上級魔法使いであるカオス・ソーサラーの手にかかれば、下級モンスターでしかない彼は抗うすべはないのだ。覇王からは見えていないと知りつつも土下座するスノウの頭をカオス・ソーサラーが掴み、無造作に立ち上がらせる。
「覇王様もお人が悪い。了解しました、闘技場に観客を集めてまいりましょう。さあ、お前はこっちに来い!」
そこから先の行動は早かった。皆が見たがっているのだ、無力な獲物が圧倒的な力の前にねじ伏せられ、抵抗虚しく希望潰えて倒される様を。断末魔
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