ターン66 覇王の粛清
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ることはわかっていたらしい。
「その欠点がこれ、燃費の悪さだ。ある程度は貯水も効くようにしたんだが、どうしても回路に無駄が多くてな。コップ1杯程度だとあの程度しか持たずにデュエルが不可能になる。もし実戦中にそうなったら最悪だ」
「……うーん」
「すまない、本当は俺の普通のデュエルディスクを渡してやりたいんだが。見ての通りここは非戦闘員が多いから、今だってここを維持するのにもかなりカツカツの状態なんだ。エルナのデュエルディスクも本当は彼女の物ではなく、他のアマゾネスが使っていたものを借りていただけだったからな」
エネルギーが切れたらただのブレスレットにしかならないわけか。コップ1杯であの程度しか持たないってことは、かなり時間配分には気を付けないと肝心な時に使えなくなりそうだ。
「とまあ、こんなところだ。正直こんな危なっかしい物を使わせるのは気が進まないが、家探しして使えるかどうかわからないデュエルディスクを探すよりはまだマシだろう。なあ、今からでも考え直して俺たちと要塞都市まで行かないか?」
これを渡すのはよほど気が引けるのか、もう一度説得にかかる三沢。だけど、僕の答えはやっぱり決まってる。心配そうな三沢に少し笑いかけて、ブレスレットを改めて腕に付け直した。
そうだ、ここまできておいて。散々周りに迷惑かけて、何人もの犠牲を出して。それなのに今更、当の本人が引くわけにはいかない。すぐ行ってやるから待っていろ覇王、ここからは僕の逆襲と洒落込もう。
所変わり、覇王城。かつては暗黒界の主たる龍神グラファの居城であったが、主無き今では覇王による侵略の拠点となっていた。近日覇王の命により行われるという要塞都市への総攻撃のため続々と悪魔や一部の魔法使い、あるいはそのしもべの精霊が集結しつつある中、1体の悪魔が何かに追われるかのようにボロボロになったマントにも構うことなく最上階、覇王の居室へ向けて走っていた。その名はスノウ……旧暗黒界のもとで術師として名を上げ、赤き隕石の力を浴びてからも覇王の元でその頭脳を振るってきた実力派である。
誰も止める者がないままに最上階にたどり着いた彼が、扉の前に片膝をついて叫ぶように声を絞り出す。
「覇王様、ご報告したいことが!」
「なんだ」
扉の向こうから聞こえてくる冷たい声に今更ながら冷や汗が吹き出してくるのを感じたが、すでに時遅し。ただ頭を垂れ、震え声で報告を続けるしかない。
「い、以前覇王様の前から無様にも逃げ出した壊獣とかいカードを使う人間ですが、奴はまだ生きておりました!ワタクシがこの目で確認しましたので間違いございません!」
「ほう?」
「報告は以上でございます!」
対して興味を引いた風もない返事にむしろ安堵し、早めに切り上げてその場か
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