ターン66 覇王の粛清
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ついつい流されて、最も彼が欲しがっているであろうセリフをぶつけてみる。
「なにそれ」
「よくぞ聞いてくれた。これは俺が覇王軍に対抗するためこの世界で完成させた新型デュエルディスク……の試作品だ」
「デュエルディスク?それが?」
三沢の持つそれはどこからどう見てもデュエルディスク要素はなく、ただのブレスレットか腕輪にしか見えない。第一、カードを置くスペースどころかデッキを置く場所すらついていない。ただよく見るとただの金属の輪っかではなくその内側に無数の点が模様のようにあしらわれていて、見ようによってはその色も相まってまるで星海を切り取ってそのまま持ってきたかのようにも見えた。
だがそれだけで、やはり見慣れたデュエルディスクを連想させるパーツは何一つついていない。三沢は僕の訝しげな視線も当然の反応だと頷き、ブレスレットの方を脇に置くと代わりに手にしていた紙を地面に広げる。そこには三沢らしく、例によって例のごとく大量の数式と共に丁寧なデッサンが描かれていた。
「そもそも覇王軍は当たり前だが、基本的にデュエルディスクの有無で相手がデュエリストかどうかを判断する。デュエルディスクが無ければカードだけ持っていても何の意味もないし、あれはカードを置くスペースを確保しなければいけないせいで遠くからでもよく目立つからな。だから俺は、その部分さえクリアすれば奴らの目を誤魔化したうえで戦力を確保できるのではないかという結論に至った」
「ふんふん」
そう言ってデッサンの1つ、従来のデュエルディスクの絵を指さす三沢。言いたいことはよくわかるし、確かにもっともなことだ。確かにデュエリストだとわかれば奴らは人海戦術もお構いなしで向かってくるから、非武装の一般人のふりをすれば捕虜になるぐらいはあるだろうがそれでも道中のリスクを大きく減らすことができる。少しだけ興味が湧いてきたので、そのまま先を促す。
「だが当然、これまでの俺たちの常識だとそんなことは不可能だ。カードを置くスペースがなくなればデュエルは不可能だし、そこを削る技術は海馬コーポレーションの最先端科学でも難しいだろう。そこで俺が目につけたのが、科学とは全く別の未知なる力……カードの精霊による超自然の力や魔法だ。俺らしくもない話だがな」
「ふんふんふん」
確かに、理論的で科学的な三沢にとっては苦渋の決断だろう。異世界に渡り次元を越えることすらツバインシュタイン博士と共に科学の力でやってのけたのだから、今更それとは全く違う異質なものを利用する事を決めるまでにはどれほどの試行錯誤があったのかは、想像に難くない。
「そこでまず考えたのが、このパターンだ。この図を見てくれ」
そう言って次に指差したデッサンは、何やら人間が手首から肘のあたりにかけて金属製の小手のようなものを装
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