ターン66 覇王の粛清
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あれから。接点こそ薄いものの三沢の友人ということで口添えしてくれたタニヤのおかげもあり、なんとかあの場で射抜かれるようなこともなく、彼女たちアマゾネスに案内されてとある場所に来ていた。簡易式の家やテントが立ち並び村というより難民キャンプのようなその場所をよく見ると、女だけの村というアマゾネスの伝統とは程遠く男や老人、カードの精霊の姿もちらほらと見ることができた。
「ここは……」
「それは私より、彼から聞いてくれ」
「彼?」
タニヤの言葉に聞き返すと、ちょうどキャンプ地の中央に位置するテントから1人の男が出てきた。タニヤに向かって手を振り、次いで僕に視線を送るその目が驚愕に見開かれる。多分、僕も同じような顔をしているだろう。忘れもしないその顔、十代やタニヤ同様まさかこの世界に来てみるとは思いもしなかった顔だ。
「三沢!?」
「清明!」
……あれ、なんかデジャヴ。反応がワンパターンな気がするけどこれしか言いようがないのだからしょうがない。
「それで、三沢達は何やってんの?」
さらに30分後。ひとまず客分として迎えられた僕は三沢の仮住まいとなったテントの中で胡坐をかきながら、そもそもあの砂漠の異世界で別れてから皆に一体何があったのかを聞き出していた。
それにしても、まさかヨハンが行方不明になっていたとは。しかも、次元のゆらぎを通って異世界に着いたと思ったら最初は全く無関係の世界って、何やってんだか。その世界で三沢は1人、ヨハンはいなくても僕がこの世界にいるかもという希望を元に残って捜索を続けていてくれたらしい。
「何やってんのとはご挨拶だな。わざわざお前のために残ってやったというのに」
「ふーん……タニヤのため、じゃなくて?」
「ゲホッ、ゲホッ……!うるさい!」
ちょうど目の前のコップから水を口に含んだ瞬間を見計らって、三沢にとって一番突っ込んでほしくないであろう点を指摘する。予想通りの反応ににやにやと笑みがこぼれ、それを見て一杯喰わされたことを悟った三沢が呆れ顔になる。
「まったく。お前、そんなキャラだったか?」
「僕にも色々あってね。少し性格が悪くなったのさ。そんで真面目な話、ここはなんなの?」
「ここは、簡単に言えばまさに難民キャンプそのものだな。覇王軍による戦火からかろうじて逃れたものの行き倒れ寸前になっている人たちを見つけてしまってな、まさか放っておくわけにもいかずタニヤと俺でこの拠点を作り上げたんだ」
「でも……」
さすがに直接口に出すのははばかられるが、ここでまともな戦力になりそうなデュエリストは三沢とタニヤを除くとほんの数人のアマゾネスぐらいしかいない。あとは老人や子供、あるいは怪我人ばかりだ。いくら三沢達が強くても、覇王軍から隠れきれるとは
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