S-2 開戦/黒髪
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により与えられた知識で千里眼と言うものがどれだけ有用かを理解した。
「紛い物ってのが気になるが、使えるなら使ってくれ。だがこの目でも確認したいから辺りを見てみるのは変わらないけどな」
「了解した」
セイバーが答え、黒色の外套に付いているフードを被る。紛い物と言っていたのはセイバー自身が持っている訳ではなくてあの外套が関係しているのだろう。
セイバーが辺りを見回して数十秒経つと突然フードを外した。何か焦っているようで顔を見ると驚きが全面に、そして顔が真っ青になっていた。
「どうしたんだ、セイバー。顔色が悪いぞ」
「………………」
「セイバー、どうした」
反応のないセイバーに少し強めに呼び掛ける。その声に気付いたかセイバーはオレの方を向く。
「あ、ああ、すまないマスター。なんでもない……」
その言葉が嘘と言うことは理解できた。だがオレに問い詰める資格はあるのか。オレは既に「対等」とセイバーに言っている。問い詰めたら自分で自分の言ったことを破ってしまう事になる。
「何かあったら言って良いぞ。千里眼を続行できるならしてくれ。オレはその間に魔術と身体の調整をしている」
「…………了解した」
千里眼の内容がどうか分からないが仮にもセイバーとして現界した英雄だ。オレが魔術の調整をする時間くらい出来るだろう。
オレは懐にしまっておいた魔術道具を一つを取り出す。緑色に輝く小石のようなアイテムを右手で軽く握る。
「 」
詠唱を極限まで圧縮し、辿り着いたこの魔術。口を少しだけ開き、無音で魔術を紡ぐ。これが攻撃に転じることが出来るのならどれだけ嬉しいことか────と考えたところで思考を魔術を放とうとしている右手へと切り換える。
右手の掌に握られた緑色がその輝きを失うと同時に薄く、平べったくなっていく。握っていた手を開くと石は同じ緑色の半透明で六角形の薄い板に変換された。その直後、掌から離れる。
「魔力は底無しになっても特に変化は無いか」
オレは魔術により出した盾を視認する。形はイメージしたものと全く同じで、質感もイメージ通りだ。
服から適当な魔術道具をもう一つ取りだし、それを握りしめる。
「────────────」
今度は高速で声に出し詠唱を開始する。左の掌に収まっていた紙が熱を持たない炎により瞬時に焼失し、盾が分厚く、大きくなり、その中に秘められた魔力の密度を大きくした。
「…………上出来だな」
一通り見て何時も通りと確認した後、オレは右手に強化の魔術を施し、盾を目掛けて構える。書物庫にある武道に関する本を読み漁り、自分なりに最適化させた独特の武術の構えをする。これは截拳道を基としていてその
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