序章 二人の出会い - 森の町チェスター -
第3話 変身
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めながら声の方向を見た。
地面に倒れて動かないスケルトンファイター。
その傍からこちらに寄ってこようとするティア。
それを見て、シドウは理解した。
彼女が敵を不意打ちで蹴り飛ばして転がし、籠手型の爪で戦闘不能にさせたのだということを。
「ちょっと! 上級冒険者っていうからもっと強いのかと思ったのに!」
「ごめん。剣はものすごく得意というわけでもないんだ」
ティアは、
「剣を使ってるのに得意じゃないって、なんなの」
と言いながら、シドウの腹部に右手を当て、目を瞑った。
すると、シドウは腹部の痛みが一気に引くのを感じた。
「……? ティアは回復魔法を使えるんだ?」
「うん。親が僧侶でね。教わったんだよ。本職ほど本格的じゃないかもしれないけど」
「なるほど。ありがとう……。あ! そうだ。俺の回復よりも、あの死体をバラバラにするか焼いてしまわないと、また復活――」
言うのが遅かった。
ガシャガシャっという音とともに、スケルトンファイターが起き上がってしまった。
――しまった。
再生したスケルトンファイターはすぐに襲って来ず、後ろを一度振り返った。
その隙に立ち上がった、シドウとティア。
だが、そのスケルトンファイターが気にしていた後ろ≠ノいたものを見て、戦慄が走った。
どこから来たのか、スケルトンファイターがもう二体現れていたのだ。
その二体も合流して三匹並び、こちらを闇の眼窩で睨み付けてくる。
「さ、三匹になっちゃったよ、シドウ」
「……」
これはまずい。もう手段は選んでられない――。
シドウがその結論に達するのは容易だった。
「ティア」
呼びかける。
「多分、今からびっくりすることになると思う。別に秘密にしろと言われているわけではないけど、これから見ることを言いふらさないでもらえると嬉しい」
「え? どういうこと?」
シドウは、頭上に疑問符を出したままのティアに「そこから前に出ないで。危ないから」と言うと、少し前に出た。
振り返り、ティアの位置を再確認すると、お尻をまともに向けないように、わずかに体を回転させた。
(……変身)
服が破れ、シドウの体が急速に膨張する。
首は斜め上方向に伸び、腕が厚い膜状に広がっていく。
手は鋭い鉤爪に変化。尻からは後方に長い尾が生え、皮膚は無数の鱗となっていった。
姿勢は前傾だが、それでも体高は人間の大人の二倍以上は優にある。
そして、逆三角形の額。厚みのある顎。やや長いが力強さのある首。
鉤爪が付いた大きな翼。がっしりしながらも無駄がなく、鱗できらりと光る体。
首とのバランスが取れた長い尾。
シドウは、ドラゴンの
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