170部分:三頭の竜その三
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る場合じゃないでしょ」
リンダが突っ込みを入れる。口調こそ緊張感に欠けるがその顔は違っていた。
アリオーンの強さは今まで見たこともないものであった。前線で指揮を執る諸将もセリスやシャナン達も彼とトラキア軍の強さに色を失っていた。
「まずいね、このままじゃ陣が破られてしまうよ」
「はい、ですが今あの場には持てる兵力を全て投入しております。今さらに送れる戦力といえば・・・・・・」
「我々しかいないね。行こう、オイフェ、シャナン」
「はい」
「うむ」
トラキア軍が押し切るかに思われたがセリスの陣頭指揮により押し戻し戦線は膠着した。同時にそれまで勢いづいていた左側面に攻撃をかけていた三頭の竜も押し戻されていった。
「よし、その調子だ。敵を喰い止めるんだ!」
セリスの指揮により勢いを取り戻した解放軍に対し今度はトラキア軍が焦りだした。次第にその攻撃が弱まっていく。
「くっ、そうはさせるか!」
アリオーンがグングニルを手に再び突撃をかけようとした。だが上から自分を兄と呼ぶ声がした。自分をそう呼ぶ者を彼は一人だけしか知らない。そしてその者の事を彼はよく知っている。上を見上げた。そこにその者はいた。
「アルテナ・・・・・・」
妹は兄を切ない、やりきれない顔で見ている。
「兄上・・・・・・。もうお止め下さい。兄上にはこの戦が何の意味も無いことはわかっておられる筈です」
兄は妹の願いに対し首を振る事で答えた。
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