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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(Final)
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至近距離で主砲を叩き付けた。思わずのけぞる深海棲艦の胸部に尾張の必殺の拳が撃ち込まれる。
『グハアァッツ!!』
よろめく深海棲艦を尾張はあらん限りの力で押していく。その尾張をつかもうと三頭獣の巨大な爪が伸びてきた。このままでは尾張が捕えられる。皆悲鳴のような声を上げながら、とっさのことでその場から動けなかった。
「讃岐。」
紀伊を支えてその光景を呆然とみていた讃岐は不意に声をかけられた。

 近江がこっちを見ている。今まで見たことのないとてもきれいな微笑みだった。
「何・・・?何よ、近江姉様・・・・。」
「紀伊姉様を、頼みましたわよ。」
そう言い捨てて近江もまた全速力で走っていった。
「近江姉様・・・?近江姉様ぁっ!!!」
妹の声を背中で聞きながら、近江は主砲を構えた。へし折られた3連装砲搭は残りの砲身1門ずつを敵にしっかりと向けた。
「目標!!深海棲艦背後爪!!テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
風邪を切ってとんだ砲弾は左右の爪に命中して吹き飛ばした。
「尾張姉様!!」
尾張に加勢しながら、ガッと深海棲艦に抱き付いた近江がぐいぐいと押していく。尾張が信じられない顔をした。
「近江!!何馬鹿な事をしているの!?紀伊の元に戻りなさい!!死にたいの!?」
「紀伊姉様には讃岐がいます!それに尾張姉様を一人には出来ません!紀伊型は4姉妹、一人だけ逝かせるようなまねなんてできませんわ!!」
「近江・・・・バカ・・・・!!」
一瞬顔をゆがめた尾張が次の瞬間高笑いしていた。澄んだ明るい笑い声が高らかに点に駆け上っていく。
「紀伊型はバカよね!!そろいもそろってバカばっかりよ!!紀伊も、あなたも、讃岐も!!」
「そして尾張姉様もですわ!!」
近江が誇らしげに言った。
「そう、私も大バカよ!!今気が付いたわ!!バカはバカ同士、派手に心中してやるわよ!!!」
『き、貴様ら!!』
もはやエコーの切れた深海棲艦が驚愕の表情で二人を見る。
『自殺する気か!?』
「違うわよ、何言ってんの!?」
尾張が至近距離で砲弾を炸裂させながら叫ぶ。近江もだ。敵に当たって流血させた破片は容赦なく味方二人にも飛ぶ。切り裂かれた頬や足から血がしたたり落ちる。それでも二人はやめず、あらん限りの力で深海棲艦を押していった。
「あんたを道づれにして、派手な花火を上げるのよ!!ミッドウェー本島もろともあんたを地獄まで吹き飛ばしてやるわ!!!」
尾張がそういい、ぐいっと渾身の力を込めて、深海棲艦を渦に叩き込んだ。
『グアアアッ!!』
「近江、零式弾、残ってる!?」
顔に血を滴らせながら、尾張が叫んだ。
「はい!!最後の6発が残っていますわ!!」
「私もよ!全砲門に零式弾を装填!!!諸元なんかシカトだわ!!最大炸薬、最大出力で斉射よ!!!」
「はい、
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