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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(Final)
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艦隊一斉砲撃!!相手は弱っているわ。突撃よ!!・・・あっ。」
不意に自分の足元を見た紀伊は肩を落とした。
「推進装置が・・・・。」
そう言った紀伊の肩に手が置かれた。尾張だった。
「見ているだけじゃ駄目よ。」
「でも・・・・私は動けないし――。」
「私がリードするわ。」
意外な言葉に紀伊は固まった。
「尾張。」
勇気づけるように尾張がうなずいて見せた。驚いたことに、尾張は片目をつぶりもしたのである。一瞬だったが、日頃の引き締まった表情が明るくなった。
「お姉ちゃんがそんな顔をしてたら駄目でしょ。できることをして妹たちを助けてよ。それに、あなたは全軍の指揮官なのだから。まだ戦いは終わっていないわ。」
「尾張・・・あなた、その、何と言ったらいいか・・・・。」
紀伊はもうどうしたらいいかわからなくなって、尾張をぎゅっと抱きしめた。
「ちょちょちょちょぉっ!!!」
紀伊を引きはがしながら尾張が叫んだ。
「まだ終わってないわよ!!愛情表現なら後で受けつけるから!!」
「あ、ごめん・・・・。」
姉妹二人はしっかりと手をつなぎあった。そういえば、と紀伊は思った。尾張と手をつなぎあったのは、初めてだ。そのことがとてもうれしかった。
「行くわよ、突撃!!」
紀伊と尾張を先頭にして、尾張、讃岐、愛宕、能代、磯風、夕立が深海棲艦に突撃していった。
『オノレ、コザカシイ艦娘ドモメ!!』
燃え上がりながらも、なお深海棲艦の戦闘力は健在だった。三頭獣は凄まじい咆哮を上げると、主砲を立て続けに撃ちまくってきた。
「来るわ!!」
紀伊が叫んだ。
「わかってる!しっかり・・・・つかまっててよっ!!!」
尾張が右に左に華麗に避ける。そのすれすれを砲弾が走り抜け、巨大な赤い柱が立ち上がる。
「目標は・・・・深海棲艦の胸部装甲、その一点!!」
紀伊が叫んだ。
「全力集中砲撃、開始!!」
紀伊が尾張の手を握りしめた。汗ばんでいる。それは自分の汗だけでない。妹もだ。だけれど、それがとても頼もしかった。
『テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!』
同時に叫び、同時に発射された砲弾が深海棲艦の胸部に続けざまに命中し、次いで愛宕、能代たちが放った魚雷が炸裂し、さらに近江、讃岐の艦載機隊が集中爆撃を行った。深海棲艦は両腕で顔を庇い、もがき苦しみながらよろめき後退していく。
「撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
尾張が叫びまくる。他の艦娘たちも手を休めない。一瞬でも気を抜けば深海棲艦から反撃が来る。敵をあの渦に追い落とすまでは、たとえ砲身が吹き飛ぼうとも、撃ちまくらなくてはならない。
 その時だ。


【残弾ありません。】


という無機質な音声が聞こえ始めた。紀伊、讃岐、愛宕、夕立――。次々と砲撃を中止せざるを得
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