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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(Final)
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切り声を上げながら四散していく。
「やったわ!!武蔵!!」
すぐ前で体を張りながら防戦し続けていた武蔵は洋上をじっと見つめている。左手は深海棲艦を一歩も通さないというように大きく広げ、右手は先ほど放った主砲の指向先を向いている。
「武蔵!!私たち助かったのよ!!」
大和がそばに駆け寄った。それなのに――。


武蔵は身動き一つしなかった。


「武蔵・・・・?」
妹の肩をつかんだ大和の腕の中に、武蔵がゆっくりと倒れてきた。
「武蔵・・・武蔵?!」
眼鏡が外れ、波間に落ちた。その眼は虚ろに大和を見返したまま、動かなかった。



「やったよ!!」
蒼龍は叫んだ。上空にはずっとこの時を夢見ていた瞬間が訪れていた。開発していた震電隊が上空を駆け巡り、深海棲艦を縦横に銃撃し、そして深海棲艦側の艦載機隊を撃滅している。
「飛龍・・・見えてる!?」
蒼龍の腕に抱きかかえられた飛龍は目を開けた。
「見えているよ・・・。ついに、やったんだね、私たち・・・・。」
「そうだよ、飛龍。」
蒼龍はそっと飛龍をゆすった。援軍到着直前、敵深海棲艦戦艦から放たれた16インチ主砲弾が飛龍を直撃したのだ。とっさに突き飛ばされていた蒼龍は、飛龍が体を張って自分を庇ったのを視界の隅で認めた。
「どうして、私を・・・・あなたの方が優秀なのに!!」
「そんなことないよ・・・・私たちは姉妹だもの・・・どっちが優秀だとかそうじゃないとか・・・関係・・・・・。」
蒼龍の手をつかんでいた飛龍の手が力を失った。
「ないじゃん・・・・。」
それっきり目を閉じて動かなくなった飛龍を蒼龍は抱きしめた。


* * * * *
『ガアッ!!マタ、シテモ・・・・!!』
背後から強襲を受けた深海棲艦がもだえながらもなおも反撃し続ける。その後ろの空間には渦が巻いている。どんなに砲撃を食らっても一向にその勢いは衰えない。
「どうすればいいわけ?!」
能代が絶望的な顔をした。
「どんなに攻撃しても、あいつを倒せないなんて・・・・いったいどうすればいいの?」
愛宕が真顔で呟く。
「アイツさえ倒せればすべてが終わるのに!!」
讃岐の言葉を聞きながら佇んでいた尾張が不意に目を細めた。深海棲艦はさっきからあの渦を背にして、一歩も動いていないのだ。もしかして――。
「あそこに敵を追い落とせば!!」
「なんだって!?」
「あの深海棲艦の背後!!」
尾張が指さした。燃え上がる深海棲艦の背後にまがまがしい発光をする渦が巻いている。
「空間が歪んでいる!?こんなことあるっぽい!?」
「『ぽいぽい』言ってる場合じゃないわよ。ありったけの砲弾と魚雷を叩き込んでアイツを異次元空間に追い落とすんだから!」
尾張が主砲を構えた。その隣で、紀伊も、
「行くわよ、全
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