第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(Final)
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ている。尾張、近江は無事だったようだが、それでも大小の傷を負って頬をひきつらせている。腕で顔を庇った紀伊がなおも周りを見まわすと、どの艦娘も傷を負っていないものはいなかった。
『降伏シロ!!貴様ラニ勝チ目ハナイ!!』
「ふざけるんじゃないわよっ!!」
尾張が主砲をへし折られながらも、突進し至近距離から砲撃を浴びせる。だが、したたかな反撃を食らって、かえって傷を負ってよろめいてしまった。
「尾張姉様ァッ!!」
近江が飛び出して、尾張を収容してきた。
「主砲、撃てぇ!!!」
代わって進出した愛宕が艦隊を指揮する。日頃のほんわかした表情はまるで感じられない。愛宕たちの集中砲撃と、能代たちの肉薄しての魚雷攻撃が深海棲艦を火と煙で包む。
この砲撃が10分以上続いた。並の深海棲艦なら、とっくの昔に灰と化しているほどの凄まじい攻撃だった。
だが――。
硝煙がおさまってみれば、深海棲艦はほとんど無傷のまま紀伊たちを嘲笑っていた。
『ムダダトイウノガマダワカラナイノカ。マッタクオロカナ艦娘タチダ。』
誰しもが愕然とし、恐怖すら味わいながら対峙していた。
「これは・・・・こんな・・・・・。」
予想をはるかに超えた頑丈な深海棲艦の前に紀伊は気力をなくしつつあった。
どんなに砲弾を叩きこんでも、どんなに爆弾を魚雷を撃ち込んでも、倒れない。
こんなことがあるのだろうか?
「これは、もう駄目っぽい・・・・?」
夕立が喘ぎながらつぶやく。『ぽい』は口癖だが、その『ぽい』が確定に代わるまで、あとどれくらいだろうと、紀伊は思ってしまった。
「駄目!!まだ駄目です!!最後の最後まで――。」
そう言いながらも、紀伊のどこかで何かが音を立てて崩れつつあった。
(皆さん・・・ごめん、なさい・・・・!)
絶望に立たされた紀伊がそれでも最後まで奮戦すべき砲に装填した時だ。
『ガアッ!!』
悲鳴が聞こえた。深海棲艦が背後に炎を背負って苦しんでいる。遥か後ろを見た紀伊は信じられない光景を見た。
無数の艦載機隊がこっちにやってくる。それのみか、包囲中の深海棲艦艦隊の後ろから、これまた大艦隊が接近してくる。さらにミッドウェー本島深海棲艦の背後、島の後方からも。
見覚えがあった。
鳳翔、瑞鶴、日向、熊野、利根・・・・呉鎮守府の艦隊だ。そればかりではなく、なにやら海外の艦娘もたくさん来ている。そして上空には数えきれないほどの艦載機隊、陸上攻撃機などが無数の点とかして飛んできていたのである。
「やった・・・やったわ・・・・!!」
傷を負いながらも大和は叫んでいた。武蔵が盾となって、必死に防戦している中を、ついに援軍が来たのだ。それをみて包囲されていた艦娘たちも奮い立った。包囲艦隊は前後から挟撃を受けて乱れたったように金
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