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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
暗謀転身
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ケットシー領主は言った。
「報告を」
「……はい」
静かに言ったその言葉が、沈黙に水を差す。
バサリと羊皮紙アイテムを広げる部下の手も、心なしか震えていた。
「
土妖精
(
ノーム
)
領、隣の
音楽妖精
(
プーカ
)
領民からの情報提供にて挙兵した、と。推定兵力は約百五十。領からの出奔は情報が錯綜していて不明です。が、開戦準備だけは確認されました」
「四鋼将は?」
「当然、入ってくるかと」
ふむ、と鼻を鳴らすアリシャだが、少なくともこの議論に明確な答えはない。
彼女は諦めて「次」とおざなりに言った。
「
風妖精
(
シルフ
)
からの定期便が折り返したという報告が。あちらの領に滞在する領民によると、領内での反ケットシー領の声が上昇してきているようなので、そのための一時的処置かと」
「……そう、サクヤちゃんが」
飼い馴らし
(
テイミング
)
スキルで旧運営体時代から騎乗動物を提供してきた縁で、ケットシーとシルフは伝統的に仲がいい。その結果がALO開闢以来初めての種族同盟なのだから。
だが、そんな関係にも反対勢力は存在するものだ。同じ領主として、相反する領民の狭間で板挟みになる心苦しさは心得ているつもりだ。領民を第一にした
親友
(
サクヤ
)
は責められない。
アリシャは思わず額の、領主を示す徽章に触れ、その冷たい感触を指の腹に感じながら、「次」と言った。
「
火妖精
(
サラマンダー
)
、昨晩の件からほとんど動きはありません。公的文書も現在まで確認できず、不気味なほど不動の態勢です」
「《猛将》も?」
はい、という淡々とした返事を聞きながら、アリシャは唸る。
サラマンダーは本来、ALO九種族の中では最強クラスの実力を秘めている。それもこれも今現在同盟を組んでいるシルフの旧領主を殺したからだ。
だがシルフとケットシーが連合を結んだ現在、彼らの過激思想は押さえつけられている状態だ。
四方八方から追い詰められつつある今のケットシーに対し、嫌がらせの一つもないとは解せない。
だが、あのトカゲどものことなど一々突っかかっていても時間の無駄だ。バカはバカらしく、大人しくしていてもらおう。
アリシャはふん、と鼻を鳴らすと、「次」と言う。
「
水妖精
(
ウンディーネ
)
は、調査隊と交戦の後、かなりの険悪ムードになりつつあります」
「そりゃ、根っこの話から噛み合ってないないからネー」
「他種族――――プーカ領はウチにいる自領民を避難しようという動きが。
鍛冶妖精
(
レプラコーン
)
は、新たな大口取引を見合わせるかもしれない、と」
なるほど、と。
小さな領主は黒檀の机上に広げられた羊皮紙の束を一瞥する。
現存する情報はあらかた出尽くした。
おおよそどこの領も、
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