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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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過ぎていった。

「―――ぉぉごあああぁぁぁ……っ!」

 自分の耳がおかしくなったような気がした。
 声が遠く感じたと思ったら、耳元で(とうげ)()していくような悲鳴が通り過ぎていくと、すぐに遠く消えていった。
 音が遠く、近く、遠くの順番に変化していくという珍しい現象を体験したその直後、背後でドガァン、と壁でもぶち抜いていったかのような恐ろしい破壊音が聞こえた。


「(……ふ、振り返るのが怖い…)」

 し、死んでないとと思う……多分。
 背後で、壁に人の形の穴が()いてたりしないよね?

 一方、エルザ姫は男の末路(まつろ)を気にする事なく、清々(すがすが)しい表情をさせた。

「ふぅ〜、スッとした。 この方が手っ取り早くて一番だな」


 ええぇぇえええっ……?

 さっきまで秩序(ちつじょ)めいた事を言っていた姫様の最後のセリフはなんだったのか、エルザ姫は前言を引っ()り返してこの言い草である。

 自分はそれを呆気(あっけ)に取られるしかない。
 この人、これで姫陛下なんだよ?

「よぉ、ちゃんと来たなバッテン」

 まるで(した)しみを覚えた友人のような気安さで、エルザ姫が自分に声をかけてきた。
 先ほど男をブッ飛ばしたその手でヒラヒラと振って、この国で最も偉い人の姿からはかなり遠い姿だ。

 なんかもう…色々と規格外で、身分の差で恐れ多いという気持ちよりも…その呼び名は止めてほしい気持ちの方が(まさ)っていた。

「レ、レヴァンテンです! ていうか…今の人、いいんですか!? 貴族…ではなかったけど、殴って…飛んでいきましたよ!? 絶対無事じゃなさそうな感じの物凄い音を立てて!」
「細かい事は気にするな。 それとも……何か問題でもあるか?」
「アッハイ、モンダイナイデス」

 僕は、あの男の事を高速で忘れる事にした。
 勢いのまま色々言っちゃったけど、エルザ姫はあまり気にする事はない様子だが、あれ以上踏み込んだらヤバイと身の危険を感じていた。

 アハハ…怖いなぁ……。

「よーし、それじゃ付いてこい。 謁見の間の椅子の方が座り心地(ごこち)がいいからな」
「アッハイ」

 うん、それって…“エルザ姫だけ”が座り心地(ごこち)がいいんだね。
 そしてその空間には椅子は一つしかない専用のですよね。
 そこに自分が座る席は無いんですよね、わかります。


 エルザ姫はスタスタと前に進んでいく。
 付いてこいと言いながら、マイペースに動くからズンズンと先に行って自分達を置いていく勢いだ。


 嵐のような人だ……わかってはいるけど、僕はあの人についていかないといけないんだよね…。


「サンタ
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