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それらは総じて、その対象を斬らなければ収まりがつかないからだ。
「あ……ダメッ…!」
僕は咄嗟に、サンタを引き寄せて抱え込むようにして貴族の男に背を向けた。
小柄なサンタは呆気なく腕の中に納まったが…嗚呼、やってしまった!
脱兎の如く逃げればいいものを、なんで背を向けて踏み止まろうとしているのだろうか。
「(丸まってどうするの! 僕の馬鹿ーーー!)」
咄嗟に動いた行動はもはや手遅れ。
後ろで振りかぶる殺意を感じ取って、背中から強張った。
「死ねぇ!!」
「ひぃぃ〜〜〜っ!」
「―――何勝手に殺そうとしてんだテメェ」
その時―――冷水をかけられたかのように、痛烈な存在感が声を投げかけた。
僕はこの声を知ってる。
サンタも勿論この声を知ってる。
貴族の男も当然この声を知ってる。
声に重圧がかかってるかのように…いや、その存在の大きさが踏み付けてすらいる。
その存在を知っていたら、否が応でも固まる。
不機嫌そうな声色が乗っていたら尚更身が強張ってしまうだろう。
―――だって彼女は、姫陛下なのだから。
「へ、陛下……」
貴族の男は、剣を振り上げた体勢のまま固まっていた。
首だけを動かして、視線をエルザ姫に向けている。
自分は腕の中にサンタを抱えたまま、そっと後ろを振り向く。
そこには相変わらず視線を上に向けられる高い位置するように、階段の上からエルザ姫陛下がいた。
「もう一度訊くぞー。 何勝手に殺そうとしてるんだ?」
口調に威圧はなし、されど誤魔化しを許さない。
それはそうだろう。 彼女はこの国における最高権力者だ。
その身分に相応しいほどの行使力がある。
権力がある者なら、それがわかるはずだ。
「あ、いやこれは……」
今度は貴族の男の方が口籠る番だった。
さっきの僕のような狼狽えぶりだ。
「あぁん?」
エルザ姫は更に短気だった。
貴族の男の態度を見るに見かねて、せっかちにもカツン、と靴音を鳴らしながら階段を一段踏み込んだ。
あれは危険だ。
「そう! これはそこにいる下賎な男が悪いのです! そこの薄汚れた男は、不遜にも王城を我が物顔のように闊歩していたため、これは許されぬと判断して私は誅罰を与えようと
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