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をぶつけてくる。
あぁ、ダメだ…やっぱり怖いよぉ…。
この当然のように強気な目線で責めてくる雰囲気に居た堪れない。
「そ、それじゃ僕はこれで…」
すごすごと、頭を低くさせながらその場を立ち去ろうとした。
エルザ姫に会わなきゃいけないと思っていても…情けなくても、そうするしかなかった。
―――だが、その足を止める手が僕を引き留めた。
「え?」
サンタだ。
たった一日一緒に過ごしただけだけど。
無言でほとんど自己主張する事はなく付きまとっていたあのサンタが、自分の意思を強く見せた行動をとっていた。
僕の腕を掴んで離さない。 そんな明確な行動の力は弱くとも、自分は足を止めてしまった。
訴えかけるように引き留めるこの子は一体…。
「なんだその小さなキメラは?」
サンタを見て貴族の男は、訝しげに睨み付けてきた。
目障りだった自分が立ち去ろうとしているのにそれを止めるサンタの存在で、さっきよりも声に不機嫌さが伴っていた。
ヤバイ、と経験豊富な危機感が訴えかけてきた。
「あ、いや、これはその…」
「ガキがキメラの真似事か? どこから紛れ込んだんだ。 ここをどこだと思っている、さっさと出て行け!」
「いや、でもこれはですね、この城に元からいたみたいで…だから、出て行けってのはちょっと…」
僕は何とか宥めようとするものの、それが逆にこの男の神経を逆撫でした。
「黙れ! 誰が口答えしていいと許可した!」
「んひぃい!」
反射的に身が竦んだ。
普通の人に怒鳴られるより何倍もの恐怖が蝕んで、紡ごうとした言葉があっさりと中断させられてしまった。
「ね、ねぇ…サンタ。 これ、まずいから…」
「―――、――」
小柄な体から伸びる手は頑として離そうとしない。
ここから離れたい自分、ここから離そうとしないサンタ…そして、ここから追い払いたい貴族との意思は見事に分かれた。
そして…一人の男が、苛立ちの感情を見せてすぐに行動に出た。
「ちっ! これ以上勝手をするのなら目障りだ…この場で手打ちにして…!」
シャリン、と研いで真新しい鞘走りの音と共に、貴族の男は剣を抜いた。
ヤバイ…そう思った時にはもうヤバかった、本格的にヤバい。
そう、剣を抜いたからには、斬らなければ止まらない。
なかなか剣を抜かない貴族もいれば…こうやって易々と抜く貴族もいる…そして
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