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「こ、こんにちわ〜…」
ヘコヘコと頭を下げながら僕は登城した。
傭兵としてのレヴァンテンはお役御免となり、昨日付けで試験的特例近衛と言う従者もどきのレヴァンテンとなった僕はデトワーズ城に訪れていた。
デトワーズ皇国が誇るデトワーズ城は相変わらず御立派。
見せつけるかのような堅牢さは実態よりも大きく見えた。
門番も格式が高そうな雰囲気を漂わせている。
自分がここに訪れるのはこれで実質二度目。 けれど、小市民な性根のせいで腰が引けていた。
「ん、あんたは…」
格式が高そうな門番さんは訝しげに自分を見て…そして、後ろにいる仮面の人に視線を向けた。
「話には聞いている。 通っていいぞ」
なんと、それだけ言って要件も聞かずに門番は通してくれた。
ぼ、僕が姫様に目を付けられた事が、もうそんなに早く噂になっているのだろうか…。
「――、―――」
それをただ、僕の後ろでサンタと呼ばれる仮面の人は無言に見守るだけだった。
―――。
門を潜り、青空が見える中天の下を通って城に入る。
中は派手さはあるものの、実用的な側面が窺える内装は相変わらず格が高く、自分みたいな下々の人間から見れば圧倒される光景に足の動きが鈍くなる。
前は道案内のメイドさんがいたが、今ではそれもなく足の向ける先すらわからず迷子のようになって、キョロキョロと視線を彷徨わせた。
「えと…昨日は城に来いとしか言われてなかったけど…お迎えの人とかいないんだけど……」
そこかしこに警備の兵士さんはいるけれど、自分の姿を見ても声をかける様子はなかった。
「あ、あのぉ…仮面さん?」
たまりかねて、自分は後ろをチョロチョロと付いてきている仮面の人に声をかけた。
目を覆う形の仮面はその視線を窺う事は出来ないが、小柄な体格から低い位置にある顔は自分を認識するように見上げているのはわかった。
「何か…訊いてないですか? ほら、今日の初仕事には何をするのか、とか…どこかに向かうか、とか…知っていたら教えて貰いたいかな〜、って」
「―――、――」
しかし仮面の人はやっぱり無言かつ無反応。 相槌すら打たない。
自分が期待していた返事が返ってくる事はなかった。
「誰かに訊くしかないかなぁ……メイドさんとか見かけられたらいいんだけど」
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