第四十二話 脅迫その十一
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「そうしてやるから」
「だからですね」
「貴女のお姉さんとお友達も呼ぶの」
「わかりました」
「しかし、随分と馬鹿なことをしたわね」
メールを見つつだ、副所長はこうも言った。
「これは」
「そうですね、まさかと思いますが」
岡島も副所長の今の言葉に応えて頷いてから言った。
「これ蓮見さんが何もしないって思っていたんでしょうか」
「そうかも知れないわね」
「自分だけでここを出て来るって」
「私達に言わずに」
「僕達に言わないって」
「多分ね」
今度は洞察する顔になってだ、福所長は岡島に話した。
「思っていなかったというかね」
「というか?」
「こうしたことをされた経験がないのね」
衝夫も鍛冶元もというのだ。
「脅迫すれば常に言うことを聞いていたのよ」
「脅迫された人が」
「そう、あまりにも確信の弱みでね」
「誰にも言えない様な」
「ほら、万引きとか汚職とかね」
そうした悪事は、というのだ。
「あといやらしいことを無理にされた時の写真とか」
「そういうのを掴まれてですか」
「悪事をやってないのなら弱みを強引に作って」
「反吐が出るやり方ですね」
「その反吐が出るやり方は実際に効果があるのよ」
相手の誰にも言えない弱みを握る、それは強引に作ってでも手に入れてというのだ。
「相手自身じゃなかったか家族のそれを掴むとかね」
「警察にも友達にも言えない」
「そういう弱みばかり握って脅してきたから」
「今回もですね」
「そうしようと思ったのよ」
衝夫や鍛冶元はというのだ。
「蓮見さんにも通じると思ったのよ」
「それで、だったんですか」
「私達が知ってることを頭に入れていなかったわね」
「成程」
「そしてそれがね」
「連中の落とし穴になったんですか」
「悪意に満ちた行動を行ってばかりいると」
脅迫や恫喝、そうした行為をだ。
「善意には気付かないものよ」
「そちらにはですね」
「心底見下げ果てた餓鬼道に堕ちた様な人生だとね」
「善意には気付かなくなるんですね」
「そうよ、それならよ」
「その悪意をですね」
「逆に取ってやるのよ」
これが副所長の考えだった。
「ここはね」
「そういうことですね」
「さて、これでね」
「決められますか」
「あまり他人を舐めないことよ」
副所長はこんなことも言った。
「脅迫がいつも通じると思わないことよ」
「そんな犯罪がですね」
「そうよ、悪事は絶対に何時かはばれてね」
「裁かれますね」
「世に悪が栄えた試しはなしよ」
「そうですね、僕も子供の頃悪いことをしたら」
岡島はこのことは少し笑って話した。
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