巻ノ七十七 七将その十一
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「そうされる」
「そのことがわかっておられるからですか」
「治部殿は伏見城に入られた」
「あの城は堅固でちょっとした軍勢も防げますし」
「だから入られましたか」
「そうじゃ、しかし治部殿のあのご気質がな」
幸村はここで難しい顔になりこうも言った。
「今の事態を招いた、豊臣家の天下を護りたいのなら」
「家は、ですな」
「一枚岩であるべき」
「このことは当然ですな」
「中で揉めていては何も出来ぬ」
それこそというのだ。
「だからな」
「ここは、ですな」
「治部殿はご自身を抑えていくべきでしたか」
「こうしたことにならぬ様に」
「以前から」
「今豊臣家は二つに分かれておる」
幸村はこのことをまた指摘した。
「そしてこのことがな」
「豊臣家にとってですな」
「悪いこと」
「そうでありますな」
「うむ、このままでは危うい」
豊臣家の天下はというのだ。
「家は一つであるのは絶対じゃ」
「天下人である為には」
「それこそ」
「そうであるがな」
幸村は難しい顔になって述べた。
「これではな」
「豊臣家の天下は、ですか」
「危うい」
「そうなのですな」
「ここを内府殿に付け込まれては」
それこそというのだ。
「天下は保てぬ」
「では」
「このことも踏まえてですか」
「次の天下人は内府殿ですか」
「あの方になりますか」
「そうやもな、それを収める方もおられぬしな」
石田と七将の確執をというのだ。
「茶々様にも出来ぬしな」
「ですな、あの方は」
「立場はおありですがそれでもです」
「何もご存知ない方」
「それでは」
「どうにもならぬ、むしろ動かれては」
かえってというのだ。
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