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真田十勇士
巻ノ七十七 七将その十

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「隈なく探しましたが」
「そうか」
「はい、それでは」
「さらに探せ」
 より広い範囲をというのだ。
「手掛かりもな」
「そうしたものも」
「全て探せ」
 こう命じるのだった。
「よいな」
「わかり申した」
 家臣も応える、そしてだった。
 七将はまずはその場に止まりそうして今は石田を探した、そしてその行く先を知ってまずは驚いたのだった。
「伏見城とな」
「あそこに逃げたのか」
「内府殿のおられる城に」
「そうなのか」
 こう言って驚くのだった。
 加藤もだ、七将の面々にその顔で話した。
「もう各々方お聞きと思われますが」
「治部めは伏見城に逃げ込みましたな」
「内府殿のおられる城に」
「あの城にはあ奴の屋敷もありますが」
「しかしお命を狙った相手の場所に向かう」
「何という奴」
「図々しいというか」
 七人共苦い顔で言った。
「このことはです」
「どうしようもありませんな」
「言う言葉もありませぬ」
「このことはです」
「呆れるしかありませぬ」
「治部め、何という奴」
「とんでもない奴ですな」
 口々に言う、しかしだった。
 呆れるのが終わってからだ、彼等はあらためて言い合った。
「しかしあ奴の居場所はわかり申した」
「それならばですな」
「早速伏見城に向かいましょう」
「そしてあ奴の首を取りましょう」
「是非共」
「これよりあの城に進軍ですな」
「兵達を連れて」
 是非にと話してだ、そしてだった。
 彼等はすぐに兵を率いてだ、伏見に向かった。この動きは幸村も都において十勇士達に調べさせていkたが。
 十勇士達の報を聞いてだ、彼は言った。
「こうなることもな」
「有り得たことですか」
「治部殿の嫌われ方を見れば」
「七将の方々との確執ですな」
「あれを見れば」
「あの御仁は悪い方ではないが」
 しかしというのだ、石田は。
「どうしてもな」
「敵を作ってしまう」
「そうした方ですから」
「この様なことになることも」
「有り得たことですか」
「それも今の様に兵を挙げてな」
 七将達がというのだ。
「有り得た、治部殿は口が過ぎる」
 悪人ではないがそれが為にというのだ。
「だからこうなることは考えられたが」
「そしてですな」
「治部殿は伏見城に逃げ込まれましたな」
「内府殿のおられる場所まで」
「あちらまで」
「あれは正しかった」
 石田のその決断はというのだ。
「少なくとも内府殿は今は治部殿をお守りする」
「今は、ですか」
「少なくともですか」
「そうじゃ、今はな」
 あくまで今の時点では、というのだ。
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