巻ノ七十七 七将その九
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「そのうえで政を執っておられますが」
「そうであるな」
「もうご存知でしたか」
「無論な、しかしな」
「それでもですか」
「うむ、わしは行く」
こう言うのだった。
「あの城にな」
「内府殿は今は」
「わしに何もせぬ」
このことを見抜いているからこその言葉だった。
「だからな」
「あえて入られますか」
「うむ、ではな」
「これより」
「伏見に向かおう」
石田は島にこう言ってだ、身を隠したうえで伏見に向かった。だがこの頃七将達は佐竹家から石田が出たことを知ってだった。
本陣を構えていた七将達はだ、周りに言った。
「探せ」
「はい、それでは」
「これよりですな」
「治部殿を探し出し」
「そうして」
「そうじゃ、討ち取る」
そうするというのだ。
「あ奴、何としても見付けよ」
「わかりました」
「ではすぐに辺りを探します」
「草の根を分けてでも」
「そのうえで」
「そうせよ」
七将達はそれぞれの家臣達に言った、そして彼等の間でも話をした。まずは彼等の筆頭格である加藤清正が言った。
「各々方、宜しいですな」
「はい、今よりです」
「治部めを探し出し」
「天誅を与えてやりましょうぞ」
「何としても」
「左様、そして」
そのうえでと言うのだった。、
「あ奴の首を太閤様の墓前に」
「そうせねば」
次に言ったのは福島だった。
「天下は定まらぬ」
「あ奴はですぞ」
加藤嘉明が言うには。
「太閤様に讒言を繰り返して今に至った輩でござる」
「唐入りの戦の時どれだけ言ってくれたか」
その唐入りの戦で死線を潜り抜けた黒田の言葉だ。
「忘れられませぬ」
「お拾様にも取り入るのは必定」
細川はこのことを断言した。
「その前に」
「その首討ってやりましょうぞ」
池田も石田への憎しみを剥き出しにしている。
「天下の為お拾様の為に」
「治部め、見ておれ」
最後に蜂須賀が言った。
「これまでの悪行の報いを与えてやるわ」
「では治部を探し出し」
そしてとだ、加藤清正がまた言った。
「討ち取りましょうぞ」
「殿、治部はもう佐竹家の近くにはいませぬ」
その加藤に彼の家臣が言ってきた。
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