巻ノ七十七 七将その七
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「ですから」
「ではそれがしだけで」
「いえ、どうも刑部殿も」
大谷もというのだ。
「そのお身体ではとです」
「内府殿がですか」
「気にかけておられるとか」
「そうですか、それがしを気遣って」
「休まれては、実際にです」
榊原もだ、大谷を見て彼を気遣う顔で言った。
「お辛いでしょう」
「それは」
「隠されずとも、しかしそれがしは」
「左様ですか」
「これで」
こうしてだった、榊原はこの件から完全に手を引いた。そしてそれからだった。大谷も家康の気遣いを受けてだった。
この件から退いた、それから彼は己の領地に引っ込んだがそこでだった。
宇喜多家のことを聞いてだ、唸って言った。
「そういうことか」
「と、いいますと」
「殿、一体」
「内府殿がご自身が仕切りたかったのじゃ」
こう家臣達に言ったのだった。
「全てな」
「宇喜多家の騒動は終わりましたが」
「内府殿が仲裁され全てを決められ」
「どうも騒動を起こした側が一方的によい裁定をされ」
「内府殿につかれてるとか」
「徳川家にこぞって入られたとか」
「これで徳川家の力はさらに強くなりな」
そしてというのだ。
「宇喜多家の力はな」
「相当に弱まりましたな」
「宇喜多殿も困っておられるとか」
「お家の力がかなり弱まり」
「どう挽回するかと思われているとか」
「内府殿が仕掛けたことじゃな」
大谷はこのことを察して言った。
「まさにな」
「そうなのですか」
「ここは内府殿があえてお家騒動を起こされ」
「そしてそれをご自身で収められてですか」
「宇喜多家の一方を徳川家に引き込まれましたか」
「そうされたな、見事ではある」
大谷は一旦は褒めた、だがだった。
それと共にだ、彼は隻眼になっているその目を顰めさせてこうも言った。
「しかし奇麗ではない」
「武士としてはですか」
「どうにもですか」
「奇麗ではない」
「そう言われますか」
「うむ、これも政であるが」
それはわかっていてもだった。
「奇麗ではないな」
「どうにもですな」
「このことはですな」
「厄介だと」
「殿はそう思われますか」
「うむ、実にな」
こう言うのだった、そしてだった。
大谷は家康への考えを少し変えた、武士としてどうかという策も使うとだ。そして家康は大坂城においてだ。
西ノ丸に入りそこから政を執る様になっていた、北政所と入れ替わりになる様にだ。だがその家康の権勢は日に日に大きくなり。
石田への反発は高まっていっていた、だが彼はそれに気付かず家康のことにも天下のことにも心を砕いていた。
だがその彼にだ、ある日島が顔を顰めさせて言った。
「殿、すぐに御身を隠されて下さい」
「何があった」
「七将が殿のお命
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