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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(4)
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ューンは今でも俺の発案だと言うが、あれはベルゲングリューンの発案だ。大した奴だ。

俺は何とかエーリカを口説き落として本当の夫婦になることが出来た。最初エーリカは結婚式はあくまで帝国と旧同盟のしこりをほぐす儀式だと思っていたようだ。俺が“愛している”というと驚いたように俺を見ていた。もう一度言うと小首を傾げた。もう一度言ってから口づけした。

嫌がらなかったから多分異存ないのだろうと思った。まあそれ以来夫婦として過ごしている。もしかすると本人はまだ契約結婚が続いていると思っているのかもしれない。まあそれでもいい、契約を無期限に延長すればいいだけだ。

陛下が亡くなられた時、俺が謀反を起こすのではないかと皆が心配したらしい。ミッターマイヤーがTV通信で軽挙妄動をするなと忠告してきたが俺はそれどころではなかった。

エーリカが臨月だったのだ。思わず
「女房が大変なのに反逆する馬鹿が何処にいる! 俺は毎日オーディンに無事に生まれてくるようにと祈っているんだぞ!」
と怒鳴っていた。俺が謀反をするという噂はそれ以来消えたらしい。代わりに俺が毎日エーリカの腹を撫でて喜んでいるという噂が流れた。

生まれてきた娘、ヘレーネは五歳になるが俺と風呂に入るのを何よりも楽しみにしているという可愛い娘だ。黒髪、黒目、母親に良く似た容貌を持つ自慢の娘でもある。一部ではアレクサンデル陛下の妃にという話が有るらしいが冗談ではない、却下だ。

先帝陛下も皇太后陛下も公人としては立派だが私人としては未熟以外の何物でもなかった。情緒と言うものが何処にあるのか分からんような夫婦で子供もはずみで出来た様なものだ。とてもそんなところにヘレーネはやれん。

ワーレンの息子がなかなか良い少年らしい。ワーレンも良い男だし、似ているなら大丈夫だ。まあ一度は見ておく必要が有るな。一度あいつらをハイネセンに呼ぶか、ワーレンだけではなく皆を呼びたいがそれをやるとまた謀反だと騒ぐ奴がいるだろう。面倒なことだ。

二番目は息子だ、名前はエーリッヒ。まだ三歳だが俺に似ている。金銀妖瞳なのだ。俺の幼少時はこの瞳の所為で悲惨だった。エーリッヒにあんな思いをさせてはならん。俺は良い父親にならねばならん。この子が生まれてきたことに感謝だ、俺の分まで愛してやろう。

三番目は今エーリカのお腹の中にいる、女の子だ。後二か月もすれば生まれるだろう。あの日誓った通り俺は幸せになった。美しい妻と可愛い娘、愛しい息子、そして生まれてくる娘。これからは俺が妻と子供達を幸せにする。俺にはそれが出来るのだ。

宇宙は希望に満ち溢れ薔薇色に輝いている。そしてこれからもその輝きは続くだろう。俺の役目はその輝きを守ることだ。俺はそのことに誇りを持っている……。




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