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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(4)
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るのだ、これ以上の効果は有るまい」
“おおっ”という嘆声がまた上がった。
分かる、ベルゲングリューン、卿の考えは分かる。しかしな俺はそんな大げさな事は望んでいないのだ。誰かこいつを止めろ、ゾンネンフェルス、シュラー、頼むから止めろ。
「なお、参列者は全員軍服は不可とする」
「駄目なのでありますか?」
「当然だ、陛下にも軍服は止めていただく。旧同盟人にとって我らの軍服は征服者の証にしか見えん。祝いの席なのだ、彼らの心を傷つけるようなことをしてはいかん」
“なるほど”、“達見です”などと声が上がる。
「しかし、宜しいのでしょうか、陛下の御成婚を超える規模になりそうですが?」
「そうだな、ベルゲングリューン。シュラーの言うとおりだ、少々拙かろう」
これで規模を小さくできる。シュラー、よく言った。今度の人事考課を楽しみにしていろ。
「閣下、恐れながら陛下の御成婚はあくまで帝国の喜びでありローエングラム王朝の慶事でした。しかし、閣下の結婚式は宇宙に平和が来たことを告げる式典なのです。どれほど盛大に行っても盛大すぎるという事は有りません」
「……そうか」
いかん、どうにもならん。こいつ目がいってる……。
「聞け! この式典に参加できることこそ帝国軍人の名誉。我らの手で宇宙に平和の到来を告げるのだ! ジーク・ライヒ! ジーク・カイザー・ラインハルト!」
ベルゲングリューンが声を張り上げた。そして皆が唱和する。“ジーク・ライヒ! ジーク・カイザー・ラインハルト!” オーナーも一緒に唱和し始めた。
こいつらがおかしいのか、それとも俺が空気を読めない困ったチャンなのか。俺は呆然としながら叫び狂う一団を見詰めていた……。
新帝国暦 8年 9月25日 ハイネセン オスカー・フォン・ロイエンタール
「ロイエンタール、総督府の権限を縮小することに異存はないのだな」
「ああ、問題ない。大歓迎だ、家族サービスの時間が取れるからな」
「分かった、では皇太后陛下にはそうお伝えする」
嘘ではない、ミッターマイヤーの姿が消えたスクリーンを見ながら思った。
結婚して六年、カイザー・ラインハルトは既に鬼籍に入っている。思えば陛下にとってはあの結婚式が最後の国家的な行事になった。軍服を脱いだ陛下に旧同盟政府の政治家達も気負うことなく話すことが出来たようだ。
陛下の純粋さ、そして不器用さ、それらを彼らも知り人間ラインハルト・フォン・ローエングラムに好意を抱いたようだ。今でも多くの旧同盟人があの結婚式の陛下を懐かしむことでそれが分かる。
結婚式は成功だった。皆が平和が来たのだと実感した。そしてその思いが帝国と旧同盟のしこりを少しずつ解きほぐした。ベルゲングリューンは正しかったのだろう。ベルゲングリ
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