166部分:聖斧その四
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聖斧その四
「わかっている?何をだ?」
口の端を歪めてみせた。弟達が何について言おうとしているのかもわかっていた。
「兄上は幼い頃よりいつも私達に騎士としてあの在り方と大儀について語ってくださいました」
「フン、それなのにレックス叔父上に続いて帝室に弓を引くとはな」
「・・・・・・叔父上はシグルド公子とアゼル公子との友情、そして祖父様や父上の誤りを正す為にグランベルに背いたのではありませぬか」
「・・・・・・・・・」
何も語らなかった。叔父とシグルドやアゼルとの友情も自分の祖父や父の事も嫌という程知っているからだ。
「今のすらンベル帝国に大儀があるでしょうか?王を暗殺し罪無き者を陥れ今民に圧政を敷く帝国に。反逆者とはヴェルトマーのアルヴィス皇帝こそそうではないのですか?」
「・・・・・・・・・」
何かを待っているように口を開こうとしない。今度はヨハルヴァが話しはじめた。
「兄貴、もうわかっているだろう?帝国こそ滅ぼされるべきなんだ。俺達と一緒に来てくれ。そして帝国を倒して大陸に正義を取り戻すんだ」
「正義、か」
ポツリ、と言った。父の悪政、大陸各地での帝国の圧政、先の大戦における謀議・・・・・・。どれもブリアンにとって許せるものではなかった。そして心の中では先の大戦におけるシグルドやその遺児セリス率いる解放軍に共感するものがあった。
解放軍の方を見る。ヨハンとヨハルヴァを解放軍の諸将が見守っている。どの者もよい眼をしている。
「・・・・・・セリス公子はこちらにおられるな」
解放軍に青い髪と瞳の若者がいるのを認めている。良い印象を受ける。
「あ、ああ」
二人の顔が明るくなる。だがそれは一瞬であった。
「ならば伝えよ、我が祖父ランゴバルトと我が父ダナンの敵討ちとしてセリス皇子に一騎打ちを申し込むとな。私とスワンチカの協力が欲しくば見事打ち倒してみよ!」
「・・・・・・・・・!」
二人はその言葉に絶句した。だがブリアンの決意は固かった。
両軍が固唾を飲んで見守る中セリスとブリアンは馬に乗り対峙した。張り詰めた空気が漂う。
「申し入れお受け頂き感謝する。このブリアン謹んで礼を言いたい」
「いえ、そのような・・・・・・」
二人共表情を変えない。両者から闘気が発せられているのがわかる。
「ドズル家三代の雪辱を晴らす為・・・・・・。参る!」
「帝国を倒し民の幸福を取り戻す為・・・・・・。参る!」
セリスは剣を、ブリアンはスワンチカを構え突進した。まず攻撃を仕掛けてきたのはブリアンであった。斧が振り上げられる。
「受けてみよ、スワンチカ!」
セリスめがけ渾身の力で投げ付ける。セリスはそれを身を屈めかわした。だがそこに次の攻撃が来た。
左手に持つ剣で斬りかかってきた。二撃、三撃と次
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