163部分:聖斧その一
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めた。反発もあったが傍流とはいえシレジア王家の者であり帝国の圧倒的な武力も背景にありあまり表面化はしなかった。だが帝国の弾圧と徴収が激しくなるにつれムーサへの反発が表面化した。やがて以前シグルドの下で活躍していた者達を中心とし大規模な反乱が起こりたちまちムーサは劣勢に立たされた。各地で反乱が続発し対応に追われた帝国はシレジアの放棄を決定しムーサも自らの軍と共に撤退した。
濃緑の髪に灰の瞳、濃紺の軍服と白いズボンとマントを身に着けている。マージナイトであり風の魔法の使い手として知られている。その戦術指揮能力も有名である。狂信的なアルヴィスの信奉者でもある。
「やっとダーナまで来たな、ブリアン殿」
「うむ」
傍らに騎乗する男が頷いた。薄黄色の髪に黒の瞳、赤茶の軍服に黒のズボンと濃い青のマントを着ている。太い眉と筋骨隆々の長身が彼が軍人であることを示している。彼こそ『騎士の中の騎士』と称されるドズル家の嫡男ブリアン公子である。
幼い頃よりその聡明さ、高潔な人柄、そして武芸で名を馳せている。マスターナイトとしてあらゆる武術や魔術に通じているがドズル家の者に相応しくとりわけ斧を得意とする。十二神器の一つ聖斧スワンチカを自らの手足のように使うその姿を見て人は彼を『斧戦士ネールの再来』と称した。率いる斧騎士団は四万、精鋭として大陸にその武名を轟かせている。
シレジア軍二万、斧騎士団四万、そしてシアルフィ軍四万からなる十万の軍は一路ダーナへ向けて進軍していた。ダーナへ着いた。その時であった。
彼等の目の前に解放軍が布陣していた。その数は優に十万を超え今にも総攻撃を仕掛けんとしていた。
「くっ、読まれたか・・・・・・」
「竜騎士もいるぞ、トラキアはもう敗れたのか?」
「ならば我等に勝ち目は無いぞ。退くべきではないか?」
「馬鹿な、今退いたら帝国の威信はどうなるのだ?」
「威信!?まだそんなものがあったのか」
「何ィ!?」
将兵達が口々に言い争いをはじめる。ムーサとブリアンはそれを表情を変えず聞いている。
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