暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第71話 暁
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「はいはい......分かったよ。ありがとうな」
いつもの調子に戻ったサソリは背中を丸めて猫背のまま婚后に背中を向けると海とは反対側の砂浜に歩みを進めた。
「!?」
猫背により歪んでいるが非自然的な規則正しい幾何学型の傷痕に言葉を失う。
それは過失や虐待による傷痕とは明らかに違う何かの作為を感ずるような傷に見えた。

まるで取り付けていた部品を無理矢理外した人形のような姿だ。

婚后が好んでいた西洋人形に付随していた部品をある時不注意で外してしまった時と重なる痕。

心がざわく
気持ちが揺さぶられる

婚后は今まで会った事のないタイプ少年にどのように声を掛けたら良いか考えあぐねている。

あまりに深い哀しさ
あまりに理不尽な無情感
そして強い罪悪感

見つからない......
わたくしの生涯で彼の生き方を捉える最適解は見つからず、扇子を口に当てた。

ただ行き着いた答えに近いのは
『人間の尊厳を踏み躙った』という事だ。


「おい、起きろ」
サソリがビーチベッドで寛いでいるテレスティーナを覗き込みながら、声を掛けた。
「ん?は、はい!サソリ様」
「例の物持ってきたか?」
「もちろんです。少々お待ちを」
めっきりサソリから声が掛からなくて不貞腐れていたテレスティーナが嬉々としてビーチベッドから飛び起きて更衣室に走っていった。

「どうかしたのかい?」
木山が用意されたメロンソーダをストローで飲みながらサソリを見ていた。
「少し、オレの過去を話する」
「!?だ、大丈夫なのか?」
「全部じゃねーが......少しだけだ。これからあいつらに頼み事をするからそれ位はな」
「お前ら少し集まれ」

今まで独りで背負い込み孤軍奮闘をしてきたサソリが解けたような表情になると焔のついた鋭い眼で呼び掛けた。

頼る事は弱さではない
助けを借りるのは恥ではない

「木山」
「ん?」
「ありがとうな」
「?あ、ああ......」

ここに来てからか
お礼を言う機会が増えた気がした
間違っていたのはオレの考えだ
間違いそいになったら周りが指摘し修正して前に進んでいく
前の自分が聞いたら一蹴する文言だ
だからこそ間違いを指摘してくれたコイツらをアイツらから護ってやりたい


テレスティーナが鞄を持って来たのを確認するとサソリは全員を集めて車座のように砂浜に腰を下ろした。
テレスティーナが鞄から取り出したのはバッジのような物だった。

「?!」
受け取った御坂がバッジの裏側にある針を見ながら首を傾げて裏返すと何かの絵柄がプリントアウトされている。
「げ、ゲコ太!?」
「な、なんですの?これ」
そこには御坂がご執心のゲコ太のようなカエルが真ん中に立ち、その周囲には
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