第71話 暁
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嘩したり......数え切れない失敗をしたり
その中でサソリを中心に回っていく今の瞬間はかけがえのないものになっていた
サソリは出現した『海』を見つめていた。
空のようにどこまでも青く、どこまでも拡がる初めて見た風景に微かに目元を動かした。
「......おい、白井」
「な、なんですの?」
「あれが海という奴か?」
「映像に近いですが......そうですわよ」
海
書籍や人伝てに聴き想像していた場所
全ての生命を育んだ壮大なる存在
乾いた砂だらけの黄色の絵の具で彩られた世界に青色が加わり水が混じりマーブリングされていく
乾いた絵筆では描けなかった絵が水に浸す事で滑らかに動きだし、重々しい絵が軽くなる。
「ふふ......そうか初めて見たな」
サソリの不意打ちに近い少しだけの柔和な表情に白井の身体が何かに打ち抜かれて砂浜で悶絶した。
「!?ひ、卑怯ですわ」
「は?!何がだ?」
「こうしてやりますわ!」
白井がテレポートをしてサソリの頭上に来ると、脚を掛けてサソリの首を挟むように肩車の体勢になりグリグリと頭に拳をめり込ませる。
「あだだ!何しやがる」
サソリが後ろ手で白井の腕を掴むとグリグリを完全に腕力で止めた。
「あっ!」
「ったく野生動物じゃねーだろ。文句があるなら口で言え」
白井は止められているサソリの力強い握力に病室の時を重ねていた。
痩せっぽちで腕力など無いに等しかったあね頃のか弱い少年の姿は今はなく、幾多の戦いを超えてきた逞しい彼の姿があった。
「白井?」
力が入っていない白井の腕を握りながらサソリが首を傾けて俯いている白井を端目で確認する。
「や、やっぱり卑怯ですわ......」
掴んでいるサソリの腕はレベルアッパー事件でAIMバーストから放たれた光球から白井と初春を守った時に付いた傷が今の残っている。
ぎゅむ
「ん?!」
白井はサソリの頭を覆うように身体全体で抱き締めた。
「やっぱり大好きですわ......」
「「「!?」」」
サソリを除くメンバーに緊張が走る。
そうこれはサソリとの一夏の想い出を作る戦いの場であることを思い知った。
「し、白井さん!ずるいですわ!」
「は、ハレンチですわよ!白井さん」
婚后が扇子で赤髪コンビを指差すと顔を真っ赤にして抗議をした。
「こりゃあ、私達も肩車してもらわ......」
「えっ!?」
麦野が艶やかに前へと出ようとするが普段見ないような動揺が走り、バランスを崩して白井を振り落としながら砂浜に尻餅を付いた。
「いたた......ですわ」
「ちょ、ちょっと待て!?し、白井がオレの事をか!?」
今までに見た事がないように顔を真っ赤にしてサソリが焦りながら後退りをし始める。
「えっ?え
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