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暁ラブライブ!アンソロジー〜ご注文は愛の重たい女の子ですか?〜
私が守ると決めたから 【ひかる】
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起こったのか見当もつかず混乱していると、少女が言った。
「やめるにゃ!いじめしてたってそっちには何の得もないにゃっ。カッコ悪いにゃ!」
少女のよく通る声に、周囲の視線が一斉に集まる。絶好の機会と思ったらしい、2人は、少女をまくしたてるように言った。
「はあ!?ちょっと遊んでやってただけなのに、何その態度!」
「あんたには関係ないでしょうが。どこの誰だか知らないけど、水差すようなら帰って。」
少女たちの顔には苦痛の色がにじみ出ていた。しかし、それでも弱いと思わせまいと、ガンを飛ばして、オレンジの髪の少女に歯向かっている。
しかし、私の前に立ちはだかっている少女は、なおも怯むことなく、堂々と構えていた。
「何が『遊んでやってた』……?何が『関係ない』……?これは立派ないじめ、絶対人としてやっちゃいけないんことなんだよ!」
少女が反論する。それが癪に障ったらしい、リーダーの少女が反発する。
「ふざけんな……お前なんか私1人で潰して…」
そう言いかけ、周囲に同意と周りを見渡した。しかし周囲の目は、今までの悪行が返ってきたと言わんばかりに、冷ややかだった。
その視線に気づいたのか、少女たちはきまり悪そうな顔をして、
「ふん、覚えていなさい!」
とだけ言って、そのまま急ぎ足で教室に向かった。
それにしても、どうしてこの子はあの子たちを追っ払ってくれたんだろう?
私の噂を聞いてはいないのだろうか。
何か目的があるんじゃないだろうか。
そんな疑問と邪推が頭の中で渦巻く中、少女は、私のほうを振り返り、
「もう大丈夫だよ!怪我はない?」
と、私の顔を覗き込み、私に手を差し伸べた。
じわり、と視界が滲んだ。
そしてそのまま、大粒の涙がいくつも頬を伝った。
「うにゃっ!?大丈夫かにゃ!?怪我でもしてたの?踏まれたとこが痛いの、ねえ……あわわわ、どうしよう…」
狼狽える彼女を前に、私の目からは止め処なく涙がこぼれ落ちていた。
「ううん、平気……ありがとう、ありがとう……!」
まともに言えたのかわからないけど、何度も何度も、手を差し伸べてくれた、陽だまりのような彼女に、礼を言った。床を擦り埃まみれの制服で、涙で顔をぐしゅぐしゅにしながら……
終わりの見えない闇の世界に、どこまでも氷のように冷たい世界に、太陽のように暖かな光が差し込んだ。
そして陽の光に照らされた世界で、私は少女と一緒に歩んでいくと決めた。
****
それからというもの、私は少女と「友達」として、多くの時間を共有していった。
少女は名を「星空 凛」といった。凛ちゃんは、星空というよりは寧ろ、昼間に顔を出す太陽のように、明るく天真爛漫な少女だった。
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