暁 〜小説投稿サイト〜
暁ラブライブ!アンソロジー〜ご注文は愛の重たい女の子ですか?〜
私が守ると決めたから 【ひかる】
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
私の世界は、いつも真っ暗だった。


「やめるにゃ!いじめしてたってそっちには何の得もないにゃっ。カッコ悪いにゃ!」

そう言いながら彼女が私の前に立ちはだかった、その時まで。
























***************

「あっれー、小泉じゃん。なんでまだ生きてるの〜?」

あ、まただ。また、会ってしまった。

「ほんっと、存在が迷惑って感じ。さっさと死ねよ」

前から勢いよく迫ってきた脚は、私の胃のあたりを直撃した。
ぶち当たった衝撃から咳き込み、そのまま蹲る。私の腹を蹴飛ばした、黒髪ロングの少女は、しゃがんだ私を見て、口角を吊り上げて笑う。彼女の顔立ちが整っているのもあって、その笑みがより毒々しいものに見えた。
彼女の笑い声と同時に、彼女を取り巻く周囲の目も、好奇の目へと変わる。彼らも彼女らと同様に、私を蔑んだ目で見、好き勝手言い、私に指を差して笑った。
私を包み込む、あざ笑う声。好奇の目。
そしてどこからか沸き起こる、「死ねよ」のコール。
それは次第に大きくなる。
まるで大罪を犯した囚人の処刑に、歓声をあげるように。

時に観衆の中に、心配そうにこちらを見つめる生徒もいる。
かつては最初は彼女らの行為を教師に訴える生徒もいたし、生徒の声に耳を傾け彼女に注意した教師もいた。が、その教師が行方知れずとなって以来、誰も助けを求めようとせず、こちらに手を差し伸べることもしなくなってしまった。教師も教師で、当初私に哀れむような眼を向けていた教師も、今はもう腹を抱えて蹲る私を横目に、何事もなかったかのようにそのまま通り過ぎて行くようになっていた。


一体私が何をしたというのだろう。
私はただ目立たず、木陰に生える雑草のように地味に生きてきた。
誰にも注目されることもなく、誰の興味を引くこともなく。
静かに教室の隅で本を読んで過ごしていただけなのに。
私の何がいけなかったのだろう。
私の何が彼女の気に障ったんだろう。
私の何が、こんな事態を引き起こしたのだろう。

親に相談しよう、とも思ったが、そんな勇気も気力もどこにも残っていなかった。
私をかわいがって育ててくれた、親にそんな告白をしたら、間違いなく心配をかける。また私が迷惑をかけてしまう。
それに、親に言い、学校に訴えに行ったところで、どうせこの事態が収まることはないのだろうとわかっていた。
私を助けようとしてくれた先生は、まず校長に直訴した。が、事なかれ主義の校長に、助けを求めても無駄だとわかると、今度は市と県の教育委員会に乗り込んだ。しかし、県内の行政を牛耳る彼女の親に圧力を掛けられた教育委員会は、その心優しい教員の職を奪った上で、いじめの事実をも
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ