160部分:父と子とその二
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父と子とその二
「よし、上手くいったな」
鮮やかな動きで少年を助け出した二人は会心の笑みを浮かべて言った。
「ところで君、見たところプリーストのようだけれど名前は何というんだい?」
「はい、僕の名は・・・・・・」
自分の名を言おうとしたその時だった。不意にレイリアの声がした。
「一体何の騒ぎなの?」
「ああ、ちょっと森の獣達がな」
「ふうん。えっ、シャルロー!?」
「あっ、姉さん!」
レイリアがケインの馬に駆け寄って来た。そしてシャルローの前に来た。
「どうしたのよ、ハンニバル将軍のところにいたんじゃないの?」
その言葉にケインとアルバはエッ、と顔を見合わせた。
「うん、ちょっとその事で・・・・・・」
「何か訳ありね。いいわ、セリス様のところへ連れて行ってあげる」
「有り難う」
「よしっ、じゃあ行きましょう」
そう言うとアルバの馬の後ろに乗った。二人は鳩が小石を宛てられたような顔をしていたが我に返りレイリアに頷いた。
レイリアはシャルローを連れセリスのところに来た。そして自分達のことを話しはじめた。
レイリアとシャルローはミレトスのクロノスで生まれた。両親は居酒屋をしていた。彼女は他の子供達と同じ様に教会の神父に基礎的な学問を教わっていた。やがてシャルローも学ぶようになったが彼はすこぶる優秀であった為神父は彼の両親にミーズにある高名な神学学校に入るよう勧めた。学費は神父と親交のあるトラキアのハンニバル将軍が出してくれることになった。両親はかなり迷ったが高潔な武人として知られているハンニバルならば、と承諾した。シャルローが神学校に入って数年後両親は流行り病で世を去った。他に身寄りも無くシャルローはハンニバル将軍に引き取られることとなりレイリアは両親の残した多少の金を持って神父の知人であるダーナのシスターの厄介になることとなった。
シスターは一人で小さな教会にいた。優しい人柄でありレイリアに対しても慈愛を以って接してくれたがその生活は苦しかった。レイリアの持って来た金も底をつき日々の食事にも窮するようになった。
シスターはそのような状況でもレイリアに対して優しく育ち盛りであり背も高い彼女に自分の食事を分けてくれひもじい思いはさせなかった。レイリアはそんなシスターを有り難く思った。そして何とかしてやりたいと感じた。
やがて食堂で働くようになった。シスターは昼働き夜学ぶその姿に心配したがレイリアは頑張り続けた。
食堂の場を盛り上げる為に踊ったところ好評だったのでそれ以後も踊るようになった。それが噂になり豪商や傭兵の前でも踊るようになりアレスやリーン達と知り合った。そして解放軍の面々と会い今まで育ててくれたシスターに暫しの別れをつげ解放軍に参加したのだ。
「そうかあ、レイリアにも色々とあった
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